2014年08月26日
国内初のニシキマゲクビガメ人工繁殖成功により繁殖賞を受賞
日本で初めて人工での繁殖に成功した「ニシキマゲクビガメ」が、6か月間生存したことにより、(公社)日本動物園水族館協会より繁殖賞を受賞しました。
繁殖賞には親が生み育てる「自然繁殖」、飼育係など人間が孵化や子育てをする「人工繁殖」、さらに「人工授精」があり、今回は人工繁殖での受賞となります。
これまでに平成24年にも産卵した卵を回収し、孵卵器での人工孵化を試みましたが成功にはいたりませんでした。今回もニシキマゲクビガメが半水中のカメであることから、卵は湿ったミズゴケで被い、プラスチックケースに入れて孵卵器で管理していました。
繁殖にいたった要因として、孵卵器内で湿度を高く保ちながらも、卵を直接湿らせるのではなく、プラスチックケースの縁から湿らせたほか、プラスチックケースに穴をあけるなどして、卵に対しては通気性をよくした点と考えられています。
王子動物園では過去にアムールトラなどでも繁殖賞を受賞しており、今回が22回目の受賞です。
写真(上): 繁殖賞の盾
写真(中): 平成25年6月7日(孵化日)撮影
写真(下): 平成26年8月16日撮影
繁殖賞の経緯
2008年(平成20年)11月8日 姫路市立水族館より10頭のニシキマゲクビガメを導入
2013年(平成25年)4月15日 親ガメが9卵を産卵。孵卵器に入れて、人工孵化を試みる
2013年(平成25年)6月7日 1卵孵化。人工哺育を開始。孵化日数53日
2013年(平成25年)12月7日 孵化後6か月生存
2014年(平成26年)5月22日 (公社)日本動物園水族館協会より繁殖賞を受賞
繁殖個体について
生年月日:平成25年6月7日
【誕生時】 体重:3g
【現在】 体重:約80g
国内のニシキマゲクビガメ飼育状況
7園館30頭 (オス:3頭、メス:1頭、不明:26頭) ※2012年12月31日現在
繁殖賞
年に一度、(公社)日本動物園水族館協会に加盟する動物園・水族館が飼育している生物の日本で初めての繁殖に成功し、6か月以上生存した場合にその園館に対して授与される。国内初の繁殖例を評価し、情報公開することで、加盟園館全体の繁殖技術の向上とその蓄積が、希少動物の種の保存に寄与することを目的に1957年(昭和32年)に制定されました。
王子動物園における過去の繁殖賞受賞歴
■ 1957年・自然 「マレーオオコウモリ」 ■ 1965年・自然 「クロサイ」
■ 1969年・自然 「ルリコンゴウインコ」 ■ 1970年・人工 「チンパンジー」
■ 1970年・人工 「オウサマペンギン」 ■ 1978年・人工 「アムールトラ」
■ 1978年・自然 「グレビーシマウマ」 ■ 1979年・自然 「アムールトラ」
■ 1981年・人工 「ヨーロッパフラミンゴ」 ■ 1982年・人工 「オセロット」
■ 1982年・自然 「ロウバシガン」 ■ 1983年・自然 「カラカル」
■ 1983年・人工 「シロカケイ」 ■ 1984年・人工 「フクロテナガザル」
■ 1984年・自然 「ヒワコンゴウインコ」 ■ 1985年・自然 「ヒクイドリ」
■ 1986年・人工 「ホンドタヌキ」 ■ 1994年・自然 「キンシコウ」
■ 1999年・人工 「インドホシガメ」 ■ 2005年・人工 「アジアゾウ」
■ 2012年・人工 「キエリボウシインコ」