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2023年11月21日
六甲山の自然 8 アサギマダラ
アサギマダラ Parantica sita
アサギマダラは秋になると北海道や本州から南西諸島や台湾に渡りをする蝶として有名です。春から夏にかけては反対のコースで北上個体が発見されているという報告があります。
六甲山では秋の渡りの季節に見ることができます。その年によって異なりますが9月下旬から10月中旬頃に飛来してきます。10月初旬、たくさんのアサギマダラが飛来することで有名な摩耶山天上寺へ行ってきました。運良く100匹以上のアサギマダラに出会うことができました。
ここにはコバノフジバカマが植えられていて、その蜜を吸いにアサギマダラがやってきます。
フジバカマなどの植物にはピロリジジンアルカロイド(pyrrolizidine alkaloid; PA)が含まれおり、この毒性成分を摂取することで捕食者から身を守っていると言われています。また、オスは性フェロモン分泌のためにピロリジジンアルカロイドの摂取が必要であると言われています。
コバノフジバカマの蜜を吸うアサギマダラ
アサギマダラの渡りに関してまだ充分に解明されていませんが、翅(はね)に採取日や採取場所、採取者の名前などをマーキングして、再捕獲する調査がおこなわれており、2000 ㎞以上移動した記録も報告されています。
翅(はね)のマーキング
成虫の翅(はね)の白っぽく見えるところは、浅葱色(あさぎいろ、薄い藍色)と言って、名前の由来ともなっています。この部分は半透明でうっすらと透けて見えます。
翅(はね)をとおしてして花が透けて見える
アサギマダラの雄の後翅(こうし)には黒褐色の斑紋(性標)があり、メスにはありません。これにより雄雌の区別ができます。
オスのアサギマダラ(赤丸:性票)
メスのアサギマダラ
摩耶山天上寺は花の綺麗なところで、季節によって桜やヤマボウシなどいろいろな花が咲いていて、それを求めて蝶たちも訪れます。こんなに美しいものを見せていただけることに感謝しつつ、自然と人間が共存できるようにお祈りさせていただきました。
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2023年11月18日
高病原性鳥インフルエンザについて
(今回はちょっと難しく、楽しくもない内容ですが、最後まで読めばお宝写真があります。)
毎年このシーズンに全国の動物園獣医を悩ませる伝染病があります。
それは「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI:Highly Pathogenic Avian Influenza)」です。
当園も昨年は死亡野鳥(ハシブトカラス)での初の園内発生を経験しました。
園をあげての防疫対策により、なんとか飼育鳥への感染を防ぐことが出来ました。
臨時閉園や消石灰散布ゾーンの立ち入り制限等で、来園者の皆様にもご不便をおかけしましたが、動物達が健康に生活できてこその動物園だと思いますので、ご容赦ください。
そして、今シーズンもすでにHPAIは猛威を振るい始めています。このブログを書いている時点で、北海道・宮城・鹿児島・岡山の死亡野鳥からウイルスが確認されています。年々発生件数が多くなっているように感じます。
世の中には他にも動物の伝染病はあるのですが、このウイルスは越冬のため日本を訪れる渡り鳥が持ち込むため、他の伝染病と比較し対応が困難です。具体的には、
① 豚熱などの他の伝染病のように水際対策(港や空港での対策)が出来ない
② 渡り鳥の移動距離は非常に長く、またいくつかの越冬ルートがあるため、日本のどこかで発生すれば、翌日には全国で発生する恐れ(今年度も北海道→宮城→岡山・鹿児島)がある
といった点です。
このような特徴を踏まえ、王子動物園では発生に備えた資材を常備しつつ、国内発生すれば対応レベルを迅速に引き上げ、まずは「野鳥と飼育鳥の接触防止」対策を講じています。なお、今後、兵庫県内で発生すれば「来園者の方と飼育鳥の接触防止」のための対策(水禽テラスの閉鎖)を追加で実施する予定です
上述の「野鳥と飼育鳥の接触防止」対策をするうえで、一番大変な思いをさせてしまっているのが、ふれあい広場の鳥達です。
最近は鎮静化→発生までのサイクルが短く、ふれあい広場の鳥達は1年の半分以上をネットで囲われた環境に避難してもらっています。
ちなみに、高病原性の「高」は鶏に対しての病原性であり、全ての鳥類に対して致死的な症状を引き起こすわけではありません。感染しても軽度な症状のみで回復する種もいます。しかし、鶏への高い病原性(死亡率が高く、感染力も強い)があるため、家畜伝染病予防法で「1つの農場で発生した場合、その農場の家禽(鶏、ダチョウ、エミュー、アヒル、ホロホロ鳥など)はすべて殺処分」ということが定められているのです。
当園に当てはめると、ふれあい広場と北園という少し離れた場所で飼育している家禽達ですが、どちらかの場所で1羽でも発生した場合、全羽が殺処分対象となります。想像するだけでも恐ろしい状況で、昨シーズン中の園内死亡家禽の検査(寿命等での死亡であっても、園内発生中は検査していました)時には、関係者一同「どうか出ないでくれ。。」と願っており、中には検査中に涙を流す職員もおりました。
恐ろしい伝染病ではありますが、正しい知識に基づき、今年もしっかりと対策を講じて乗り切りたいと思います。
より詳細なHPAIの情報はhttps://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/にて確認できます。
王子の獣医
(HPAIは関係ないですが、若かりし頃のガッチャンの写真です。生後3日目ですが、すでにガッチャンの風格が出てますね。)
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2023年11月16日
六甲山の自然 7 ハンミョウ、ニワハンミョウ
ハンミョウ(ナミハンミョウ)Cicindela japonica 本州,四国,九州,対馬,種子島,屋久島に分布
ニワハンミョウCicindela japana 北海道,本州,四国,九州に分布
ハンミョウ(ナミハンミョウ)は触角や脚まで全身が赤、青、緑に彩られた昆虫の中でもトップクラスに美しい生物です。
この綺麗な色彩は色素ではなく構造色と言って、特定の波長の光を反射させることで色をつけていると言われています。インコやクジャクの光輝いている羽や無色透明な液で作られたシャボン玉が綺麗な虹色に見えるのも構造色です.
ニワハンミョウの色彩は光沢がなく、茶色でわずかに緑がかっています。地面で動かずにいると足元にいても気付かないことがあります。翅には白い小さな斑紋があります
両種ともに平地や山地などの草の生えていない空き地や林道などの舗装されていない地面で春から秋にかけて見かけます。
大きな顎で昆虫を捕まえて食べます。
子供のころには、空き地や未舗装の道路でよく見かけました。そのような場所を歩いているとハンミョウが「ついておいで」と言わんばかりに、近づくと飛んで逃げて、私の進む方向に止まり、また近づくと、これを繰り返す行動が見られました。
これが面白くて、しばらくついて行ったことを懐かしく思い出しました。
このような行動をとるのでハンミョウは「みちしるべ」や「みちおしえ」と呼ばれたりします。昔は山に近い住宅街で普通に見られていたのですが最近ではほとんど見ることがなくなりました。
先日、六甲山高山植物園でたくさんのハンミョウが道案内をしてくれました。植物園などたくさんの花が咲いているところには、それを求めて虫たちが集まり、その結果、昆虫食であるハンミョウも集まってくるのだと思われます。
住宅街周辺でのハンミョウの減少は、開発による空き地や未舗装路の減少やそれに伴う餌資源である他の昆虫の減少などが原因ではないかと思われます。
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2023年10月31日
ZiZi通信 No.85 ご存じで3....
またまたホッキョクグマ舎になりました。
ZiZi通信No.79でお話ししたアクリル窓。
1枚とてもきれいになりましたので、あと3枚磨きました。
何度も磨いているので、経年劣化に加えてゆがみも出ていますが...
こんなになりましたよ!
とてもきれいになりました!!
どうぞご覧になってください。
ZiZi1号
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2023年10月29日
ZiZi通信 No.84 ご存じで 2....
ブログ更新遅くなりました。ご存じでしょうが
ホッキョクグマ舎は築29年でして、擬岩もひび割れ、浮きができたので補修しました。
あちこち こんな感じでして
これを剝がすのがミユキの遊びになってた時期もありました。
それらを取り除きますと
すごいことに
この補修に合わせて、
ミユキが昇り降りしやすいように赤丸のところを緩やかにしました。
どこを緩やかにしたか自然でわからないでしょ。
着色をして終了です。
ミユキがこの上で日向ぼっこする日を楽しみにしています。
ZiZi1号
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2023年10月26日
ゾウ舎にて
ゾウの寝室に細かいウッドチップを入れました。
硬い床にウッドチップを敷く事は動物福祉の観点からも良いことです。
マックは立ったまま寝るので足の負担軽減に、ズゼには硬いコンクリートの上ではなく、柔らかいウッドチップの上で寝てもらおうと考えたものです。
他園でもウッドチップを敷くことで睡眠時間が伸びたという報告もあります。
足のためには全面に敷いたほうがいいのですが、汚れた所を捨てるため入れ替える量が多くなります。
その結果、ズゼは睡眠中に横になる回数(ゾウは横になると自分の体重で内臓が圧迫されて血行が悪くなるため、一度起き上がり次は反対側を下にして横になります。)が2回から3回に増え、1日の睡眠時間も1時間程伸びました。
マックはいつも立ったまま寝ていますが、時折りウッドチップの上で座り込む様子が見られるようになりました。
2頭とも気持ち良さそうにウッドチップを浴びています。飼育係の作業時間は伸びましたが、2頭が喜んでくれるならみんな納得です。
やん
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2023年10月22日
これからの季節に向けて
王子動物園では「スポーツの日(10月9日の祝日)」を過ぎたころからキンモクセイの花芽が大きくなりだしました。
10月13日朝に撮影した時には匂わなかった甘い香りが夕方にはほんのり香りだして、花もまたたく間に色づき始めました。もう一週間もしないうちに満開になることでしょうね。
(10月13日のキンモクセイ)
(去年、開花時のキンモクセイ)
季節もいよいよ秋から冬に、ですが…
そうなると、話題の「アレ」。「あれ」。「ARE」ですよ。
この時期、動物園の「アレ」と言えば、そう!「鳥インフルエンザ」です。
前シーズン(2022年~2023年)は大騒動。今年の2月2日のことでした。
鳥インフルエンザに感染した野生のカラスが、動物園の中で死亡しているのが発見されて検査の結果陽性が判明。詳細な検査の結果を待つ間もそれ以上の感染の拡大を防ぐための準備で臨時休園にもなりました。
動物園の北側のエリアには飛べない鳥のダチョウやエミューがいて、他の鳥たちと同じく小さな網目の防鳥ネットを張って、野鳥との接触防止対策を行っていました。
しかし以前から野生のカラスもたくさんおり、動物たちの食べ物をよこどりして暮らしていたので、居着かないようにカンガルーやシタツンガたちの運動場にも防鳥ネットを張ることにしました。
その結果少しずつですがカラスたちはいなくなって、いまでは数羽ほどしか見かけないです。
さて今シーズンですが、先日10月4日に北海道で死亡したハシブトガラス1羽からA型鳥インフルエンザの陽性反応が確認されました。さらに遺伝子検査から高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)が検出されました。野鳥から高病原性鳥インフルエンザが確認された1例目となります。
全国では「対応レベル」を引き上げて、野鳥における監視を強化することになり、動物園でもこれから状況によって制限や対策をかえていくことになります。例えば出入りする人や自動車などの消毒などを厳しくするなど…
これからの約半年間、みなさんにもご迷惑をおかけすることになるかもしれませんが、動物たちの命を守るために消毒マットによる靴裏消毒などにご協力をお願いいたします。どうかよろしくお願いいたします。
ぶろぐのぐ
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2023年10月20日
資料館レポ№26 新着図書 4冊入りました。
新着図書は、この4冊です。
1.『科学絵本』 パンダはどうしてパンダになったのか?』
方 盛国 著 技術評論社
2.『日本で会えるペンギン 全12種パーフェクトBOOK』
木村 悦子 著 グラフィック社
3.『マヌルネコ15の秘密』
南幅 俊輔 編 ライブ・パブリッシング
4.『王子動物園 フォトグランプリ2023 写真特集』
神戸新聞社
うち、一冊をご紹介します。
『科学絵本 パンダはどうしてパンダになったのか?』
表紙のかわいらしいジャイアントパンダの絵とは打って変わって、たくましいパンダの進化が語られます。
氷河期を生き残る戦略として、進化をとげる「改革派」のパンダたち。
あんなかわいらしい表情やしぐさで、まわりを笑顔にしてくれる姿の裏には、サバイバーとしての一面があることを思い出させてくれる絵本です。
ぜひ、図書室で手にとってご覧ください。
図書 丸代
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2023年10月12日
「秋」に思う。
10月に入って、それまでの猛暑が嘘のように、朝晩すっかり涼しく感じられるようになりました。
秋は、動物園の季節です!
すでに平日も幼稚園や保育園、小学校からの遠足の児童たちがたくさん元気な声を響かせながら、動物たちに会いに来てくれています。これからしばらくは行楽に最適な気候なので、休日は家族連れなどで一段とにぎわい、動物園スタッフもやりがいが感じられる時期でもあります。
さて、秋と言えば、つい先日のテレビ番組で、考えさせられたことがあります。
神戸市では、野生のイノシシが時折市街地に出没し、市民を驚かせ、農作物を荒らしたり、時には人への危険を及ぼすことがよく起こっていました。最近は、ゴミ出しルールの徹底などでエサとなる食物が減少するなどし、捕獲も進めたことで市街地への出没はあまり見られなくなったようです。
そのイノシシからの様々な被害が拡大するのが、「実りの秋」以降というのです。
本来は山で生活しているはずですが、人里に下りてくれば木の実など食料となるものがあり、一度その味を知るとそれを繰り返す行動に出ること、また住民自身がイノシシが出没することに慣れてしまっていることなどがそれをエスカレートさせていることが、専門家から指摘されていました。
また、野生のイノシシにマダニが寄生し、公園などに侵入した際に土を掘り返したりした場所にマダニが潜むことで、そこに近づいた人がマダニに噛まれ、場合によっては感染症になるなどの被害もあるそうです。
さらには、斜面沿いの道路の排水溝が、イノシシの掘り返しによって土砂で埋まり、排水機能が低下したために、斜面が崩壊して道路が通行不能になるなど、何とインフラへの影響も出ているというのです。
最近では、野生のクマやサルなども市街地によく現れて、住民が危険を感じるというニュースもよく目にします。
野生動物の「保護」が大切であることは間違いありません。世界各地の野生動物を絶滅の危機に向かわせているのは、人間活動が大きな原因であることは、共通認識と言ってよいでしょう。
一方で、野生動物が時に人間の日々の営みに危険や障害を及ぼす時、人間はどのように対処すべきか、みなさんならどう考えますか?
動物と人の「共生」。このたった二文字の言葉は、本当に重いと感じます。
この季節、遠足や行楽に来られる多くの来園者の方々に、そんなことを少しでも考えていただくよう、知恵を絞りたいと思う今日この頃です。
(KYな人)
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2023年10月08日
ZiZi通信 No.83 キタオとキタコ....
当園の動物科学資料館には収蔵庫というのがありまして、動物のはく製、毛皮など大事な標本が保存されています。
先日、ここのエアコン更新のため下見に入りました。
ドアを開けるとキタオがお出迎えです。
お久しぶり!
キタコはこちらを向いていなかったので、お尻で失礼!
日頃はここでみんなおとなしくしています。
年中、温度20℃、湿度55%、年1回燻蒸消毒も行って過ごしよい環境にしています。。
また、時々みなさまとお目にかかること楽しみにしています。
キタオ、キタコたちの近況でした。
ZiZi1号
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