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2024年01月08日
六甲山の自然 9 ニホンイノシシ
ニホンイノシシ Sus scrofa leucomystax
【分布】
二ホンイノシシ(以下、「イノシシ」とする)は、本州、四国、九州、淡路島などに分布しています。
イノシシの分布域は拡大傾向にあり、特に東北や北陸地方で分布域を拡大していると報告されています。イノシシは雪深いところでは生息できないと言われていました。しかし、暖冬による積雪量の減少によって北方へと分布域を拡大していると考えられています。また、五島列島や瀬戸内海の島にも分布域を拡大しており、イノシシが海を泳ぎ渡り移入したと推察されています。イノシシが増加していることも分布域を拡大している要因と考えられています。【形態】
中国山地の野生イノシシの雄の体重は50-150kg、頭胴長は110-160cmで、雌はこれよりも小さいと報告されています。イノシシは、鯨偶蹄目に分類され、蹄は 4 本で、歩行には第3指と第4指が使われます。第2指と第5指は副蹄と呼ばれ小さく退化しています。
副蹄(第2指と第5指)は地面から離れているため、堅い地面では写真のように足跡として残りません。
3ヶ月齢までの子イノシシは赤褐色で縞模様があり、うり坊と呼ばれています。 3 ヶ月齢をすぎるあたりから縞模様が薄くなり親と同じ色に変わり始めます。
【食性】
雑食性で植物質ではクズやヤマイモ、チガヤなどの根茎や各種の葉、果実、堅果など、動物質では昆虫類、 ミミズ、カエル、カニなどを食べると言われています。イノシシは、土の中の植物の根や石とか落ち葉などの下にいる昆虫やミミズなどを食べるために鼻で地面を掘り起こします。鼻の力は強く、 50~70 ㎏の物を動かすことがあると言われています。地面の掘り起こしはイノシシが生息している痕跡として最もわかりやすいものです。
飼育下のイノシシは人間が食べるものは、ほとんど好んで食べます。また動物質の嗜好性が高いと感じました。
ハンバーガーやポテトなど人間も好む匂いに強い興味を示します。このような食べ物を持ってイノシシの生息地に行かれるとイノシシをおびき寄せていることになるので非常に危険です。
【繁殖】
交尾期は12月から1月にかけて始まり、約3ケ月間続くと言われています。出産は通常春に行われますが、春の出産に失敗した場合や出産した子を失った場合は、交尾期と異なる時期に再度発情が起こり、秋頃に出産することがあるという報告があります。飼育下における調査では妊娠期間は113日~119日で平均117日でした。産仔数(1回の出産で産まれる子供の数)は、1~7頭で平均4.19頭、初産の産仔数の平均は3.36頭で経産(2回目以降の出産)の産仔数は4.47頭と統計的に有意な差が見られました。
出産時期は3月から6月までと7月から10月までの2峰性が認められ、それぞれの分布の中で4月と9月にピークが見られました。
狩猟および有害捕獲にて捕獲された野生個体の報告では、妊娠率は、0歳群8.8%、1歳群84.2%、2+歳群96.1%と算出され、イノシシでは0歳でも妊娠可能であること、2歳以上ではほぼ毎年妊娠していることが明らかにされています。このことからイノシシは非常に繁殖率の高い生き物であることがわかります。
【イノシシの被害】
イノシシによる食害はイネ、トウモロコシ、イモ類、ナス、大根、キャベツ、カボチャ、トマト、人参、白菜、キュウリ、スイカ、イチゴ、タケノコ、ミカン、リンゴ、ブドウ、カキ、モモ、ナシ、クリなど多くの野菜や果樹で発生しています。
六甲山系の市街地では、食害だけではなく、イノシシによる人身被害や交通事故、ゴミ荒らしなども発生しています。このため神戸市では2002年 5月 1日にイノシシヘの餌付けを禁止する条例「神戸市いのししの出没及びいのししからの危害の防止に関する条例」が施行されました。条例では、イノシシヘの餌付け行為と餌となりうるごみの放棄の禁止が定められています。西宮市でも 2013年 4月 1 日に、「西宮市いのしし餌やり禁止条例」が施行されました。
昔は六甲山に行くと必ず何頭ものイノシシに出くわしていましたが、最近ではイノシシに出くわすこともほとんどなくなりました。先日、出くわしたイノシシも私に気づくとイノシシの方から逃げていきました。野生動物は人間を見つけると逃げるのが本来の姿なので、この条例や捕獲の効果のあらわれではないかと思われます。しかし、現在でも六甲山ではイノシシの痕跡が非常に多くみられるので、観光や登山に行く方は気を付けていただきたいです。
六甲山に行って残念に思うのは、ゴミが捨てられていることです。そのゴミをイノシシは餌とします。ですから不法にゴミを捨てる行為も餌付けをしていることと同じになります。また、ゴミや残飯の放置はイノシシ以外の動物もおびき寄せることになります。その結果、山の中で人間の食べ物の味を覚えた動物が街に出没することになります。当たり前のことですがゴミや残飯は持ち帰りましょう。
本来イノシシは臆病で人を襲うことは少なく、人間に気がつけばイノシシの方から逃げていきます。しかし、餌付けなどにより人間が怖くなくなると餌欲しさに近づいてきてトラブルになります。また、冬の発情期の雄は興奮していることがあるので非常に危険です。他の哺乳類でも同じですが動物が突然人間に至近距離で出会うと逃げることができず襲ってくることがあります。春から夏にかけては、うり坊が現れることがあります。見た目が可愛いのですが、必ず近くに母親がいるので、近づくと子供を守ろうとして攻撃してくる場合があるので気を付けなければなりません。
イノシシは人馴れもしやすい動物です。このために餌付けが盛んにおこなわれたのだと思います。人馴れしやすいと書きましたが、ペットのように馴れるわけではありません。餌によって人間との距離を近づけているだけです。この限界距離を超えたときに野生動物は自分や子を守るために攻撃をしてきます。この距離は何メートルとか言えるものではなく、人間側の行動やイノシシの精神状態、興奮度などによって変化します。ですから、イノシシに出会わないように人間側が気を付けなければなりません。
私は40年前に神戸市で保護されて動物園に持ち込まれたうり坊を飼育したことがあります。赤ちゃんの頃から育てたので凄く馴れていましたが、成長した頃に突然鼻で押してきて噛もうとしたことがありました。飼育しているイノシシでもこのようなことが起こるので野生のイノシシには絶対に餌をあげたり近づいてはいけません。
このときは私の接し方が普段と違ったのかもしれません。そのためにイノシシを興奮させて攻撃を受けたのだと反省しました。
もしイノシシと出くわすことがあれば、イノシシを興奮させないように冷静になって、ゆっくりと後退し、その場を立ち去ってください。イノシシを見つけたからといって興味本位に車で追いかけるとイノシシはパニックになって歩行者を攻撃したりします。
また、大声をだしたり、棒をもったり、石を投げたりするのはイノシシを興奮させ当事者や近くにいる人を攻撃することにつながるので、イノシシを無視するぐらいの気持ちで立ち去るべきです。
街の環境を知らないイノシシは、街に出てしまうとパニックになって逃げ場を求め柵や建物や車に激突したり人を襲ったり攻撃的になるので注意が必要です。
人間もイノシシも不幸にならないように、イノシシに出会わないように気をつけることが大切です。 -
2024年01月07日
ZiZi通信 No.88 安心のために....
ホッキョクグマのゆめの来園、アシカのコエルの来園の前にバタバタと改修しました。
今まで脱出するようなことはありませんが....
ホッキョクグマでは
運動場東側の擬木の隙間が広くて頭がはまりそうなので
パイプ入れました。
さらに西側の擬岩 ひょっとすると登るかも...
鉄板付けました。
アシカでは
コエルがヤンチャで、北側の配管渡るかも...
イメージ通りになりました。
これで安心!安心!!
ZiZi1号
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2024年01月04日
おっちゃん日和epi.6 新年明けましておめでとうございます
新年あけましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウィスルの感染拡大が落ち着き、以前のような日常生活を取り戻していく中で来園者も増え、改めて動物園が多くの方々の日常の1コマであると認識しました。
動物園では中止していたイベントを徐々に再開しています。12月には4年ぶりに干支の引継ぎ式を来園者の皆さまと楽しみました。
今年は多くの方々に更に喜んでいただければ、と思っています。
さて、2024年は「辰」年です。十二支のうち唯一の空想上の動物であり、万物の運勢が上昇すると言われています。空想上の動物なのですが、人の名前、地名、昔話、ゲームのタイトル等と結構身近に「辰」が使われています。
さすがに歴史のある王子動物園でも「辰」はいないだろう、と園内をウロウロしていると、なんと!「辰」がいました。場所は夜行性爬虫類館前の日時計です。
是非、皆さまも見に来てください。
1月2日の開園初日は、天候にも恵まれ多くの方々にご来園いただき、ありがとうございました。今年はこの勢いにのり、上昇の1年となるよう願っています。
本年もよろしくお願いいたします。おっちゃん日和
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2024年01月02日
ZiZi通信 No.87 きらきら....
本日から開園です。
明けましておめでとうございます。
フラミンゴ池も朝日がキラキラしていました。
7時50分 なんと 既に並んでらっしゃる方が...
8時20分 さらに長く
9時 円形猛獣舎あたりまで伸びたところで、開園になりました。。
新年、朝早くからご来園ありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
ZiZi1号
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2023年12月29日
レアな3ショット
2023年12月28日、今年最後の開園日。
お昼休み前の清掃を行っていると、
今年孵化したフラミンゴ3羽の3ショットを撮ることができました。なんと左から順番に、
5/19、6/6、7/19
孵化した順番通りに並んでいました。
2024年は何羽の孵化がみられるでしょうか?
今は求愛のディスプレイが盛んです❣
まーくん -
2023年12月28日
フラミンゴ親子
今年6月6日に孵化したベニイロフラミンゴ雛。
孵化して半年ほどになりますが、親からミルクをもらっています。ミルクを与えている動画↓
親フラミンゴの体は真っ白!まるでヨーロッパフラミンゴのようです。
ちなみに子育てをしていないベニイロフラミンゴは、こんな感じの色をしています↓
子育て中の親フラミンゴは、体内で栄養豊富なミルクを分泌し、
雛に与えます。
そのため本来であれば自分の体内に取り入れるはずの色素を雛に与えてしまうため、だんだんと白くなっていきます。まさに身を削って子育てをしているんですね。
私たち人間も、動物の子育てで学ぶことが多いです。
まーくん
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2023年12月28日
来年に向けて
ついこの前まで澄みきった朝の空にきれいなうろこ雲が見えていたのに。
赤く染まったカエデの葉が色鮮やかで、園路の脇にも可愛らしい花が咲いていたのに。
ツグミやセキレイたちの姿をよく見るようになったと思ったら…もう12月に。
この時期になるといつも思うことですが1年が過ぎるのはほんとあっという間…
今年は本格的なコロナ禍明け(⁉)でイベントなども少しずつ通常モードに。
そしてこれからの動物園に関係することなども盛りだくさんに。
また動物たちも元気に過ごせたり、新しく仲間がやってきたり。楽しいこともたくさんありましたよ。
少し早いですが来年も王子動物園と動物たちをどうぞよろしくお願いいたします。
来年もこの動物園でみんなず~っと一緒に楽しく過ごせますように!ぶろぐのぐ
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2023年12月16日
資料館レポ№27 干支展「辰」~龍とむかしばなしの動物たち~
動物科学資料館では、12月16日(土曜)から来年の5月6日(月曜・祝日)まで、干支展「辰」~龍とむかしばなしの動物たち~を開催中です。
特別展を企画する際に、
「さぁ、次は干支展だ!来年の干支の動物は…辰…たつ…り、龍だとぉ !! 」と
資料館スタッフ一同は頭をかかえ、そして…ひねり出しました。
龍 → 空想動物 → 昔話に出てくる → 昔話って、普通に動物もたくさんでてくるよね → 昔話って神話も一応昔話のくくりかな…ドラゴン(龍)が出てくるし… → じゃあ「龍とむかしばなしの動物たち」ってことで → 決定!
調べてみると、これがなかなか興味深い!
龍の骨が発見されていた!?
妖怪って、動物が見間違えられたり、連想されたりしてできたの!?
? マークと! マークの連続でした 。
一つ例を出すと、日本でも「龍骨」(りゅうこつ=りゅうのほね)なるものが発見され、漢方薬などにされていたそうですが、それは大昔に日本にもいたゾウの頭の骨だったようです(他のものが「龍骨」とされることもあります)。
昔の日本のヒトはゾウを見たことがないため、巨大なその頭骨を見て驚き、想像をふくらませていろいろな空想動物と結びつけて考えたのですね。
いろいろな…そう、ゾウの頭骨は、他の空想動物の頭骨にもたとえられました。
他にどんなものが想像されたかは、ぜひ見に来てください!
皆様とこの面白さを共有したいと思っています…
それから…
50代~60代の方には、懐かしいものをおいています。
お父さんのすごい技を見られるチャンスかもしれません。
入口の写真にちらりとヒントが…
ぜひお越しください
図書 丸代
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2023年12月15日
「E.T.O」
今年も残すところあとわずかとなりました。
今月初めには、遠く旭山動物園からホッキョクグマ「ゆめ」が長旅にも無事に来園してくれて、ホッと胸をなでおろしたところです。年の瀬の新たな出会いに感謝です。
みなさまにとって、今年はどんな年でしたか?長かったコロナ禍からの「復活元年」とも言える今年は、特にスポーツ界において、神戸や関西にゆかりの深いチームが大活躍して盛り上がり、物価高等で落ち込みがちな国民生活に大いに夢と希望を与え、景気を押し上げてくれました。今年の流行語大賞にも、プロ野球日本一に輝いた阪神タイガースのチームスローガン「A.R.E」が選ばれたのも、納得感があります。
ところで、本稿は動物園の話ですので、「E.T.O」にまつわるお話をしたいと思います。
といっても、とても軽いお話で恐縮です。今年の干支は、「卯(うさぎ)」ですね。昨年は「寅」、一昨年は「丑」でした。
神戸を準本拠地とするプロ野球オリックス・バファローズ(牛)は一昨年、干支の年に優勝し、見事な3連覇への足掛かりとなりました。また、サッカーJ1ヴィッセル神戸もマスコットキャラクター「モーヴィ」は牛がモチーフですが、丑年から遅れること2年で悲願のJ1初優勝を達成しました。
一方、神戸ではないですが兵庫県を本拠地とする阪神タイガース(虎)は寅年から1年遅れて頂点を極めました。
こうしてみると、この3年間に限れば、スポーツ界ではうまく干支が引き継がれず、うさぎを差し置いて牛や虎が主役の座を争い続けているような感じですね。来年は「辰」年です。今年、うさぎのチームも竜のチームも今一つだったのが、来年は干支年や1年遅れでの巻き返しがあるのか。そんな楽しい初夢を見てしまうかもしれません。まあそもそも、プロ野球でもこんなにチーム名やキャラクターに関係ある干支が連続することもたまたまですし、Jリーグ球団のキャラクターは、調べた限り竜については1チーム、うさぎに至ってはまさかのゼロだそうです(興味のある方はぜひお調べください!)。
ちなみに、竜は空想の動物なので、どこの動物園にもいないのが残念ですが・・・ということで、12月17日(日)13:30~園内で恒例ですが観覧は4年ぶりとなります「干支の引継ぎ式」を開催いたします。1年の締めくくりに、ぜひご来園ください。
(イベントの詳細は王子動物園ホームページでご確認ください)https://www.kobe-ojizoo.jp/event/detail/?id=503
(KYな人)
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2023年12月12日
ほっとする時間
12月にはいり、寒さが身に染みる季節となりました。
ある日の動物園は、晴れたり曇ったり、小雨が降ったりと
天気がころころと変わっていきます。
小雨の中、午後の作業を行っていると、東の空に虹が出ていました。
江戸時代ごろまでは、虹は6色に分けられていた?と、
本で読んだことがあります。
今は7色ですが正直、僕には7色には見えにくいです。
少しほっとする時間でした。
まーくん
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