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2023年08月27日
ZiZi通信 No.80 浮遊感....
ホッキョクグマ舎の降雪機点検に行きました。
ミユキが水に入って気持ちよさそうにしていました。
おお!いいなあ! うん? 前足だけで立ってる?
おお! ほんまや。
違いましたね。
浮遊してるのは左後ろ足だけでした。
でも浮遊感を楽しんでるかな?
ZiZi1号
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2023年08月22日
ゾウ舎放飼場に
今回、アジアゾウの放飼場に一部海砂を入れてみました。
もともと土の放飼場になぜ砂を?と思われるかもしれません。
以前はコンクリートより土の方が土浴びもできゾウのためにいいで終わっていましたが、今はゾウの足のために更に柔らかい土や砂が主流になってきています。
当園は真砂土を入れていますが、ゾウが歩いていると踏み固められてしまいます。
重機を入れて掘り起こすことも頻繫に行えないので、砂の導入になりました。
本来なら50cm位の深さが欲しいところですが、そのまま嵩上げすることも出来ません。
真砂土を深く取り除くのも大掛かりな作業になってしまいます。
そこで重機で浅く真砂土を掘り起こした後に海砂を入れて、少しでも真砂土が固まらないようにしました。
砂にも海砂、川砂、洗い真砂、バンカー砂など色々な種類があります。
今回は試験的に安い海砂にしました。
マックもズゼも良く浴びるので寝室は砂まみれです。
他園では色々な砂を使っているのでいい所、使いにくい所など話を聞いて工夫できればと思います。
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2023年08月17日
六甲山の自然 4 ソウシチョウ
ソウシチョウ Leiothrix lutea
中国南部からヒマラヤにかけて分布。
神戸版ブラックリスト2020の外来生物種
神戸版ブラックリストとは、神戸市の生態系に悪影響を及ぼす又はそのおそれのある外来種(外国か他地域から持ち込まれた生き物)のリストのこと。
外来生物種とは、国外から侵入して生態系に著しい被害を与えている、又は与えるおそれのある動植物で、すでに駆除等の対策が講じられている、もしくは今後の実態把握に努めて対策を検討する必要がある種のこと
日本では江戸時代から輸入され飼い鳥として飼育されていたと言われています。野生化については家庭や業者から逃げ出したものや、放鳥が原因ではないかと言われており、日本における野生化については,1931年に神戸市の再度山で確認され、その後1980年頃から関東以南で生息が確認されていると報告されています。
ソウシチョウによる在来種への影響については、ウグイスの繁殖成功率が低下することが報告されています。
これはソウシチョウによる直接的な影響ではなく、繁殖環境が両種ともにササ類の繁茂する森林であることから、巣が高密度となり捕食者を繁殖場所に誘引するためではないかと報告されています。
六甲山では再度山や摩耶山、六甲山上の各所で観察しています。特に摩耶山では頻繁に観察されます。
摩耶山では在来種のシジュウカラやウグイスなども多く観察されますが、ソウシチョウはさらに多く見られ最優占種またはその可能性のある種になっているのではないかと思われます。
ソウシチョウの増加要因としては、繁殖期が4~10月と長いことや六甲山には繁殖に適したササ類の繁茂する森林が多くみられることが考えられます。
美しい鳥ですが、在来種を守るためにもソウシチョウの分布域を調べることも重要だと考えています。
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2023年08月12日
残暑お見舞い申し上げます。
暦の上では秋になったとはいえ、まだまだ日本中が厳しい暑さに見舞われています。
夏休みにはいろいろな思い出がありますが、子供時代のそれは、外で冷えたスイカを食べて種飛ばしをしたりと、今から見ればまだまだのどかな風景とともに記憶に残っています。若い頃は、TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」や「あー夏休み」がいつも頭の中でリピートされていたものです。
しかし近年、毎年のように気温が上昇し、特にここ数年の夏の暑さは、体温より高い気温が連日のように計測。路面温度は50度以上と焼けつくような環境を、ベビーカーに乗った赤ちゃんたちはどのように感じているか。「日本一暑いまち」などというランキングも怖くなるぐらい、冗談でなく死の恐怖と隣り合わせなのに、「災害級の猛暑」という表現に慣れてしまっている自分に驚く今日この頃です。
この時期は、王子動物園のような屋外施設にとっては、お客様も少なく平日は閑散としています。しかし、お客様の健康を考えると、「混んでいなくて快適に観覧できますよ」などと気楽に来園を呼びかけるのもはばかられ、頭の痛いところです。
もちろん、水の中で涼しそうに過ごすペンギンやアシカなどを見ていると涼しく感じられますが、王子動物園で過ごす多くの動物たちにとっても、この異常な暑さは大敵でしょう。飼育員、獣医師などスタッフ総出で日ごろから健康管理をしっかり行っていますが、人間と違って「暑い!」と言えない分、なおのこと飼育環境での様々な工夫を施していかなければなりません。
近年の気温上昇は、人間活動により排出される二酸化炭素の増加や森林伐採等による自然環境の破壊などによって引き起こされた地球温暖化によるものと言われて久しく、日本国内でも異常降雨や水害が頻発していますが、世界各地の異常気象も含めてその関連が指摘され、少しでも改善するよう対策に取り組むことが叫ばれ続けています。実際に国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)は多くの人が重要性を意識し、特に地球環境の面では再生可能エネルギーやフードロス削減など、最近は国や地方公共団体、企業を挙げて積極的に取り組む機運も高まってきているように思います。しかし、まだまだ十分なレベルではないという印象です。
このような時代にあって、動物園に来て実際に動物たちをご覧いただきながら、地球環境が激変する中で野生動物の現状はどのようになっているだろうか。人間と野生動物がたった一つの地球で共生していくにはどうすればよいだろうか。野生動物が生息する環境を保全するために自分に何かできないだろうか。動物園は、このようなことを動物から感じ、野生動物と自分たちの生活はつながっていることを考えていただくきっかけとしてほしい。 「王子動物園リニューアル基本構想」に位置付けられた、目指すべき方向性の「2.動物を通して自然や環境への扉をひらく 『まなぶ』」には、こんな思いが込められています。
『まなぶ』に関しては、リニューアルに関わらず、できることはすぐに取り組みたいと思っています。みなさんも、自分たちに何ができるかを少し考えていただきに、この時期に王子動物園に来てみませんか?
最後に、暑さ対策を万全に、体調には十分注意して、動物たちと一緒にこの暑さを乗り切りましょう!
(KYな人)
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2023年08月08日
六甲山の自然 3 日中にモリアオガエルの産卵に出会った!
モリアオガエルの産卵は主に夜間に行われます。しかし、一人で夜の六甲山に行く勇気もなく、産卵シーンを見ることはあきらめていました。
7月初旬、この日は朝7時頃に繁殖地に着きました。繁殖シーズンも終わりをむかえ、どれくらいの産卵があったのか見られたらという程度の気持ちで池に向かいました。
そしたら、なんと運よく産卵シーンに出くわしたのでした。メス1匹に複数のオスが抱きついて産卵しているところでした。
しかも産卵が終わってオスたちが一斉に木に登って卵から遠ざかって行く瞬間も見られました。なかには木に登るのに失敗して池に落ちるオスもいました。
初めて産卵シーンを見たのと産卵が終わって我先にと急いで卵から離れるオスたちに感動しました。産卵中は捕食者に襲われやすいからなのかもしれません。
モリアオガエルの成体を捕食するのは爬虫類ではシマヘビやアオダイショウ、ヤマカガシなどで、哺乳類ではアライグマで報告されています。モリアオガエルの卵の捕食については「野生ニホンザルによるモリアオガエルの泡巣の捕食事例」という報告があります。
モリアオガエルが生息できる条件として、周りに森林があり池にはり出した木があること、餌としての昆虫類が豊富であることなどがあげられます。このようにモリアオガエルが生息している環境は生態系の多様性が保たれていると考えられます。
しかし、コイやウシガエルが生息している池ではモリアオガエルの産卵は確認できなかったという報告や、ウシガエルが定着した池で在来のモリアオガエルが見られなくなったという報告もあります。池や川に本来生息していない生物を放すことで簡単に生態系の多様性を崩してしまうことになるので注意しなければなりません。
オカトラノオの花が綺麗に咲いていました
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2023年08月08日
ZiZi通信 No.79 ご存知だと思いますが・・・・
ホッキョクグマ舎の1階窓はアクリルなのですぐに傷がついてしまいます。
数年前に磨きましたが、このとおり
今回、西南の1枚だけですが磨きました。
業者さんが上手に磨いてくれましたので、ビックリするほどきれいになりました。
透明感出ましたら、日本最高齢のミユキもイキイキしましたよ。
ほら
水中も
いつものポーズ!
見てみてくださいませ。
ZiZi1号
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2023年07月27日
動物園で仕事をしています
王子動物園での仕事に就いて、4か月を迎えようとしています。
今回は、開園日のとある仕事でのことについて。
休園日に普段できない工事・修理を集中的に行うことは、前回、書きました。しかし、施設・設備の突然の不具合の発生は、そんなに都合を合わせてはくれません。
本日は猛暑の開園日。暑い中頑張っている飼育員さんには頭が下がります。キリンの飼育員さんより、朝イチで獣舎の修理の依頼。設備担当職員が修理業者を手配し、午後からの修理現場の立ち会いに一緒に向かいました。
普段は入れないキリン舎の中。
天井が高っ~い。
キリン舎に向かう通路は、キリンの展示場の西側。普段とは違う風景です。
西側の柵の外から、キリンの方からの皆さんを見る目線をレポートできるかな。
こんな感じです。柵の向こう側が皆さんがキリンと対面するところ。キリンからの目線?
(この時間、来園の方々はいませんでした。)
しばらくして戻ってみると、あら、ヒメイチが出てきていました。
(柵越しなので、上部に金属棒が映ってしまってます)
静かにじっとしていたのに、こちらに気づいて。
しなやかな足取りで、ゆっくり、近づいてきてくれました。
「こんなところで何しとん。」とヒメイチ
(確かに、私のいるところは草むらの中です。)
こちらから、話しかけるも、返事はないけど、優しいまなざしで見つめられ、じっと聞き入ってもらってました。
柵1つ挟んで近づくと、わかった。
キリンの脚って細いという印象でしたが、実は蹄のところはデカい!
この写真でわかっていただけるかなあ。
レポートにはなりませんでしたね・・・
(追記)
暑くなり、今年もミストシャワーをしています。
来園されましたら、浴びてください。熱中症にならないように気を付けてください。
(おまけ)
前回のブログでお知らせした、2か月前に生まれたベニイロフラミンゴの赤ちゃんが、こんなに大きくなりました。成長のなんと早いこと。もふもふ感もずいぶん減ってます。
先日、3羽目も生まれています。是非、成長の様子を見に来てください。
〔 目指せ、動物園ボーイ 〕
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2023年07月25日
ZiZi通信 No.78 気持ちよさそうで・・・・
暑い暑いこの頃 いかがお過ごしでしょうか?
ZiZi1号 暑さに負けず、頑張っております。
先日アシカ池を通りかかりましたら、スミレが気持ちよさそうでしたので、
写真でどうぞ!
水しぶきをあげて、こちらに進んできます。
いい感じ!
ずんずんと
おお! 涼し気! できれば私も・・・・(禁句です)
おまけ : 最近少なくなっているニイニイゼミみつけました。
ZiZi1号
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2023年07月22日
資料館レポNo.25 ジャイアントパンダ「カンカン」の剥製がやってきました!
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、6月24日(土曜)から動物科学資料館の特別展示室において、特別展『「天津・神戸」友好都市50周年』を開催しています!
なんとあの有名なジャイアントパンダ「カンカン」の剥製が、特別ゲストとして多摩動物公園からやってきてくれました!
特別展の見どころはたくさんありますが、個人的に剥製好きな私にとっては、中国の野生動物たちの剥製が大集合したコーナーはなんとも迫力があって目がくぎづけになるほどかっこいいので、ぜひ見ていただきたいポイントです。
特別展は2023年6月24日(土曜)~8月15日(火曜)まで開催しています。
まだ見に来られていない方も、一度見に来てくださった方もぜひお越しください。
たくさんの剥製たちがみなさんをお待ちしています!
最後に、ブログを読んでくださった方に少しレアな情報をプレゼント。
実は…資料館出入口のガラストンネルのガラスは、ポートピア博覧会のパンダ館で実際に使われていたガラスを使用しているのです!
通るときは思い出してみてくださいね~!
収蔵子
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2023年07月08日
ミユキ(ホッキョクグマ)の臍ヘルニア手術について
いつもは検査方法等を紹介していますが、今回は今年の3月22日に実施したミユキの手術について書こうと思います。
ちょっと長めですが、ご容赦ください。
実はミユキは過去にもヘルニア手術をしています。
直近では2016年9月に実施しましたが、完治には至りませんでした。
術後しばらくするとヘルニア嚢(お腹の黒いモノの正式名称)が少しずつ大きくなり、5年前はソフトボール大(プールに入ると目立つ程度)に、今年に入ってからはバスケットボール大になっていました。
誰が見てもわかる状態になってからは、「ミユキのお腹の黒いものは何?」「治療しないの?」という疑問の声を聞くことも増えました。
今回、王子動物園ではどのような方針でミユキを治療したのかを説明し、皆さんの疑問にも同時に答えられればと思います。
まず、ミユキのヘルニア嚢について、飼育・獣医は早い段階から把握し、症状の推移を注視していました。
「早期発見したなら、早く治療したらいいのでは?」との考えもありますが、手術をしなかった理由は3つあります。具体的には、
① ヘルニア嚢の中身が脂肪であれば健康に大きな支障がない。
② 国内最高齢のミユキにとって、長時間の外科手術はリターンよりリスクが大きい。
③ ホッキョクグマの臍ヘルニア手術は例数も少なく、術式も決まったものがない。
です。
臍ヘルニアにはいくつか種類があります。
一番恐ろしいのが「嵌頓(かんとん)ヘルニア」という、ヘルニア嚢の中に腸管が入り込む状態です。
激痛を伴う腸閉塞のリスクがあり、場合によっては命も落とします。
そのため、飼育・獣医で相談し、ヘルニアが少し大きくなった時点で一度全身麻酔をかけ、ヘルニア嚢の中身が腸管ではないことを確認しました。
とはいえ、いつ嵌頓ヘルニアに移行するかは誰にもわからないため、緊急手術の可能性を考慮し、過去の手術例や、人の手術方法なども参考にしながら、術式と必要な道具について獣医チームで探索し準備を整えました。
しかし、準備が整った後も高齢個体であることを考慮し積極的な手術実施は行いませんでした。
その後、大きくなったヘルニア嚢の表面が展示場の岩で擦れ、傷ができました。
岩の一部を削って滑らかにする工事もしましたが、傷はなくなりませんでした。
このまま傷が悪化すると、夏には傷口の化膿や、ハエが傷口に卵を産んでしまう(蛆がわく)ことが予測されました。
手術をせず、夏の期間は室内で過ごし続けるという方法もありましたが、展示場に出るのが好きなミユキにとっては大きなストレスになるだとうと考え、手術実施について本格的な調整を始めました。
ペットの犬や猫と違い、大型動物は簡単に保定も出来ないため、術後管理がとても難しく、術部の治療期間を考慮して逆算すると、3月末が手術実施のタイムリミットだろうと、関係者で認識を共有しました。
ただ、ミユキの年齢を考えると100%成功する確証はなく、リスクの大きな手術だったので、担当飼育員と獣医でしっかりと意見を交換し、最悪の事態について全員が理解したうえで実施を決定しました。
手術中の詳細は省略しますが、傷口の状態が悪く、想定よりも長時間の手術となりました。
手術自体はなんとか成功しましたが、術後状態は良いとは言えず、しっかりと回復するかはミユキの体力頼みでした。
回復には、感染リスクを極力減らし、しっかりと食べて休んでもらうことが重要なため、長期にわたって観覧中止とし、寝室で療養をしていました。
その後、ミユキの状態は徐々に回復に向かい、飼育・獣医は一安心していました。
しかし、数日してミユキが檻に体を擦りつける動きが目立つようになりました。
擦っている皮膚の状態は徐々に悪化し、最終的には大きな傷が出来てしまいました。
検査の結果、背中と臀部(おしり)の一部に血流障害等が生じたことが分かりました。
長時間の手術、ミユキ自身の体重による負荷、高齢のため筋肉が少なくなっていたこと、手術中に同じ姿勢(麻酔中の覚醒対策として四肢をロープで固定)で保温マットに接していたことなど、複合的な要因があったのだと考えています。
この点については関係者で共有し、次回以降の対策を決めました。
この傷の治療によって、当初の予定よりミユキの観覧中止期間は伸びましたが、結果的にはより長期の療養期間をとることで、ヘルニア手術の患部はしっかりと回復したと思います。
再発の可能性はゼロではないため、今後もしっかり注視していく必要がありますが、ミユキは以前と同じように元気に展示場を闊歩し、雪山を掘っています。
展示場の奥で寝ている時もありますが、お婆ちゃんなので優しく見守っていただければと思います。
次回はデメオの抜歯について紹介出来ればと思います。
王子の獣医
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