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2024年05月15日
動物専門員の日常#10 カピバラ“アサヒ”の体重測定
“アサヒ”・“キリン”・“エビス”
2017年10月18日に王子動物園で誕生したカピバラの名前です。
当時、担当していた飼育員はお酒が大好きでビールシリーズで命名したらしいとか。
カピバラなのに“キリン”と名付けたことが当時、話題になったらしいとか。
担当になると今までの話をたくさん聞きます。
今日はその中のカピバラ“アサヒ”の話です。
さて、みなさん。カピバラ舎の奥のスペースに、“アサヒ”が暮らしているのをご存じでしょうか?
“アサヒ”は“チャーシュー”・“メンマ”と姉妹にあたるのですが、闘争が起こりお互いのパワーバランスが崩れたため、数年前より奥のスペースで単独飼育をしています。
“アサヒ”にとっても健康管理を進める上で体重を定期的に測定をすることは大切なことです。
しかし、“アサヒ”は飼育員泣かせの一面があります。
それは、性格がスーパーウルトラ繊細なのです (´;ω;`)ウッ…
飼育員が2~3m近くを通っただけでも、ひゅるっ~~~と逃げていきます。
暖かい季節になり、最近は展示場にトカゲがよく現れるようになったのですが、
そのトカゲの動きにびっくりして飛び跳ねていました。
(驚くポイントはそんな所にもあるのね・・・と私も驚きました(´・ω・))
初対面のときに、これは手強いぞ~と感じていたのですが、こちらもただ黙って見ているわけにはいきません。
粘り強く、体重測定のためのハズバンダリートレーニングに取り組むことにしました。
まずは、体重計に載せるオレンジ色の板に慣れてもらうこと(脱感作)からです。
“アサヒ”のスペースに早速、置いてみました。
ゆっくりと音を立てないように慎重にオレンジ色の板を置いてみたのですが
見知らぬものがあることに気づき、その場所を警戒して距離をとるようになりました。
慎重派の“アサヒ”らしい反応です。
負荷をかけすぎることなく、警戒心を解くために、最初は数時間、その次に半日、最後に1日中設置というステップを少しずつ進めていました。
その間、オレンジの板を覆い隠すように竹を置いてみたり(/・ω・)/
青草をまんべんなく、広げてみたり(-ω-)/
大好物のブドウを置いてみたり(´・ω・`)
少しずつ少しずつ、“アサヒ”の生活にこのオレンジ色の板の存在を慣らしていきました。
そんな日々が続いていたとき、急にオレンジの板の上に前肢を乗せて青草を食べてくれるようになりました。
とっても嬉しかったです。
喜びも束の間。
両前肢を乗せて食べてくれる所までは着実に進んだのですが
それから先の“後ろ肢を乗せ、完全に台の上に乗る”というステップの兆しが一向に見えず、
ここから、さらに時間がかかりました。
(見知らぬものの上に乗るのってそりゃ、怖いですよね・・・。)
その後、やっと(;_;)/~~~
“アサヒ”がオレンジ色の板に完全に乗って青草を食べてくれるようになりました。ここまで辿り着くのに約2か月かかりました。
“チャーシュー”、“メンマ”と同じように、“ハンドサインで体重計への乗り降りができたらいいのですが、“アサヒ”の繊細な性格や年齢、飼育管理の優先順位を考えるとまず必要なことは今の体重を知ることです。
そこで、こっそりとオレンジ色の板の下に体重計を入れ
いつも通り青草を置き、測定をしてみました。
「乗ってくれるかな・・・、どうかな~」とドキドキしていたのですが、
無事に乗ることができました(`・ω・´)ゞ
体重は48.1kg(5月地点)
餌量や投薬の調整に活かしていきたいです。
“アサヒ” よく頑張りました。
ありがとう。
動物専門員 あお
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2024年05月05日
たんたんさんとの思い出2
現在、園の公式X(旧Twitter)では『#たんたんさんとの思い出』を不定期でポストさせていただいており、撮り貯めた写真や、動画を見返しながら僕自身も、たんたんさんとの思い出を色々と振り返っています。
そしてその中で、久しぶりに2000年のたんたんさんが来園した当時の飼育日誌を読み返してみました。その当時、当然ですが僕は担当ではなく、まだまだ駆け出しの飼育係でした。
その頃の僕は「ジャイアントパンダを担当出来るなんて、大ベテランの飼育係だけだろうし、担当出来るなんて凄いな~」と、自分にはまだ関係のない話だとある意味他人事の様に思っていましたが、まさかその8年後に自分がジャイアントパンダの担当になるなんて、夢にも思っていませんでした。
そこから最後まで担当するなんて、人生何が起こるのか分かりませんね。
さて、話が少し脱線してしまいましたが(笑)、その飼育日誌を読んでいると、フフッと思わず笑ってしまったのが、たんたんさんが雨が苦手な事と、餌に対してとても神経質だと書かれていた事です。
コウコウは食べるのに、タンタンは食べないとか、雨が降るとすぐに部屋に帰る、外に出たがらない等...
たんたんさんは来園当時から、たんたんさんなんだな~と日誌を読んでいて、思わず笑ってしまいました。
僕が知らない頃のたんたんさんを知れたのはとても良かったし、これもまた、たんたんさんとの思い出の一つになりました。うめもと りょうじ
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2024年04月28日
ZiZi通信 No.91 プルプル....
ご無沙汰しています。
世の中、ゴールデンウィーク!!!
開園前に園内を回ってたら、ホッキョクグマ舎の水面がゆれているのが目に入りました。
ユメが水に入っている証拠です。
あれえ?泳いでないやん。上がったばかり?
おお、首が長い! ホッキョクグマやからね。
ドボ~ン!
とてもまったりした感じです。
朝一はユメがとてものんびりしてる感じがすると飼育担当と話しました。
静かな...
静かな...ひと時!
と思ったら、水から上がってプルプルってして行っちゃいました。
ありゃあ! またね!
ZiZi1号
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2024年04月27日
六甲山の自然 10 ニホンヒキガエルの卵
昨年「六甲山の自然1」でニホンヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)と幼体(子ガエル)を報告しました。
今年の2月29日に同じ場所へ行ってみたところヒキガエルの卵塊を3か所で見ることができました。
3か所の卵塊すべてが水中に没した木の枝に巻き付くように産み付けられていました。大きな卵塊だと5m以上になると言われています。今回見つけた卵塊は、大きいものでも長さ約2mでした。写真を拡大すると、卵塊は紐状で木の枝に巻き付けているのがよくわかります。
さらに拡大すると黒い卵の周りが紐状のゼリー層に覆われているのがわかります。
このゼリー層は受精のために必要であり、物理的な衝撃やバクテリアの侵入、乾燥から卵を保護していると報告されています。
今回卵塊を見つけた池には鯉やブラックバス、ヘビ類、鳥類などカエルを捕食する生物を確認しています。池の周辺の林や小川ではタゴガエルやニホンアカガエル、モリアオガエルを確認していますが、この池での産卵はありません。唯一ヒキガエルだけが繁殖しています。
このような池でヒキガエルが繁殖できる要因としては、ヒキガエルは幼生、成体ともに毒成分を持っており捕食者が忌避するからだと考えられます。
4月になったのでそろそろ沢山のオタマジャクシに会えると思います。 -
2024年04月19日
たんたんさんとの思い出を
2021年3月に心臓疾患が判明し、その後は日中で協力し、全力でたんたんさんの治療にあたってきましたが、3月31日午後11時56分にたんたんさんは亡くなりました。
病気が見つかった時、食べ物へのこだわりが強いたんたんさんに、どうやって薬を飲まそうか、とみんなで頭を悩ませました。
薬を飲んでくれると、次はどんな検査が必要で、どうすれば検査が出来るのか、と考えが尽きる事はありませんでした。
たんたんさんもこちらの要望に応えてくれて、投薬に治療と本当にたくさん頑張ってくれました。約三年間、たんたんさんの頑張りなくしては無かった日々だと思っています。
「本当に良く、頑張ったね、ありがとう。」という思いで、今は一杯です。
皆さん、たんたんさんの頑張りを褒めてあげて下さい。
そして、たんたんさんをたくさん、たくさん好きでいてくれて、本当にありがとうございました。
うめもと りょうじ
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2024年04月19日
動物専門員の日常#09“今日は飼育の日~謎すぎる生態 オオアリクイの鳴き声編~”
4月19日は語呂合わせで“飼育の日”(*‘∀‘)
公益社団法人日本動物園水族館協会が、飼育員の仕事を通して、動物園・水族館の動物を取り巻く仕事への理解を深めることを目的に2009年に定めました。
今日は飼育の日にちなみ、さまざまな園館で飼育体験やイベントが開催されていることだろうと思います。
飼育の仕事については過去のブログで3回に分けて紹介してますので、
ぜひ、ご覧くださいね(*’▽’)
▼こちらからどうぞ
・動物専門員の日常 #03 “振り返るとそこにはう・ん・ち”
・動物専門員の日常 #06 “動物たちへのエサやり~給餌編~”
さて、今日の本題です。
“飼育の日”にちなみ、オオアリクイの飼育をしている中で
私がとっっっても驚いたことを紹介します。
時を遡ること、数か月前の話。
担当になって、オオアリクイの日課作業を1人でできるようになった頃です。
オオアリクイのこと、そして当園で飼育している“サニー”と“ブンバ”のことを知るためにじっくりと観察したり、行動の記録をとってみたり、
先輩に過去のことを聞いたり、資料や文献を読んだり、時には他園館の担当者に聞いてみたりしてました。
“歯は生えておらず、舌のみを持つ動物なんだ!φ(・ω・)フム”
“え、意外にも泳げるのね(*’▽’)”
“今日はいつもより寝ているなぁ、なんでだろう。。。”など。
国内での飼育頭数も少なく、分からないことが多いオオアリクイの飼育と生態の魅力にすっかり惹かれていました。
そんなとき、ふとある疑問が浮かんだのです。
「オオアリクイって鳴くの?」
早速、先輩に聞いてみました。
「おう、ピヨピヨピヨと鳴くで。」
私「・・・・・え、嘘ですよね(´・ω・)」
当時、オオアリクイが“ピヨピヨピヨ”と鳴くと信じることができず、
真顔でそんな返事をしたような気がします。
滅多に鳴くことがないというオオアリクイ。
「担当し続けてたらいつか聞くと思うで~」と言われていたのですが、
鳴くそぶりはありませんでした。
そんなやりとりがあったことをすっかり忘れかけていたある朝。
先輩が言っていたように、本当に!!!!!!!
オオアリクイの“サニー”から鳥のさえずりのような声が聞こえてきたのです!!!!
(;゚Д゚) (;゚Д゚) (;゚Д゚)
“ピィヨ、ピヨ、ピヨ”
“ピィヨ”
▼そのときの動画がこちら
(※最初、画面が逆さになっています。ご了承ください。)
すぐに換気扇を消して、撮影したのですがほんのわずかな動画しか撮れませんでした。
これが、オオアリクイのサニーの鳴き声です。
まさかあの風貌から鳥が鳴くような声がでてくるなんて・・・!
衝撃でした!!!(;゚Д゚)
オオアリクイってとってもユニーク!
“鳴き声でお互いにコミュニケーションをとることはできるのだろうか?”
“鼻が長いからこそ出すことができる高さの音なのでは?”
“そもそもこれは本当に鳴き声と定義できるの?一体、どこから音が出てるの?”
“どういう条件で鳴くの?もしかして恋のシーズンと関係あるの?”
“幼獣と成獣で鳴き声は違うの?なぜ?” など。
謎は深まるばかりです。
動物たちの知られざる生態や生理を知ることができるのも、
その不思議な生態を解明する手がかりを見つけることができるのも、
飼育員の仕事の醍醐味のような気がします(/・ω・)/
分からないことが多いオオアリクイの魅力にますます惹き込まれていくのでした。
動物専門員 あお
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2024年04月05日
ズゼの誕生日
4月5日はズゼの誕生日です。今年で34歳になりました。
ズゼが王子動物園に来たのは1996年9月、まだ6歳の時でした。
知らないところに来たため、リガから一緒に来たサウエルスさんの姿が見えなくなると落ち着かなくなり、寝室の中をぐるぐる回るばかりでした。餌も食べず水も飲まないほどでした。歩き回って暑くなったのか自分のおしっこをかぶりだしました。ホースで水を与えると歩きながら水を浴びていました。何か落ち着かせる方法はないかと考えたとき、ズゼが運ばれてきた輸送箱の中に丸太が入っていたのを思い出しました。
ズゼにその丸太を渡すと前足の間に挟んだり、体と壁の間に挟んだりして落ち着きだしました。人間の子供がお気に入りのタオルを持って安心している様な感じでした。その丸太も使っているうちに小さく削れていき、マックと遊ぶようになってからはマックがその丸太を投げてしまい危ないため、やむなく取り上げました。今ズゼが夕方寝室に戻ってくるとき、自分の糞を一つ持って帰ってくるのはその名残かもしれません。汚いなんて思わないで、この話を思い出してください。
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2024年03月28日
資料館レポ №29 図書室に新しい本が入りました
先日、新しい本が、たくさん入りました。
その中から、気になる本を一冊ご紹介したいと思います。 『キリンのひづめ、ヒトの指 比べてわかる生き物の進化』( 郡司 芽久 著 NHK出版) です。
著者は、「キリン博士」とよばれる解剖学者です。その名のとおり、キリンを中心に研究をされています。前著「キリン解剖記」は話題になったので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。
解剖や解剖や比較によって、進化の過程をつまびらかにしてく著者は、多種多様な体の構造を深く掘り下げ、多種多様に生きていく仕組みを、日々目にしています。 たとえば、ヒトにはしっかりある鎖骨が、多くの動物では退化してなくなっていること、文字どおり「手のひらを反す」ことができるのはヒトだけであることなどをあげて、ヒト自体がかなり「特殊な生き物」であり、「普通は…である」という「先入観にとらわれず、豊かな知識をもって正確に世界を見ていきたい」というのです。
著者がしっかりと生き物の体と向き合ったからこそ、もれでてくる言葉は、しっかりと私たちの心にも浸透していきます。 この本は「生きる仕組み(生態)を知ることは、生き方(心の持ち方)を知る」ことになるのだと教えてくれているようです。
エッセイを目指したというこの本では、生物学的な難しい言葉や言い回しは出てきません。
「学校の「生物」の授業、眠かった~ !」という人も大丈夫です。超文系人間の私がお薦めします ;-)
ぜひ、手に取ってご覧ください。
著者が初めて解剖したキリン(王子動物園のマサイキリン「夏子」)
図書 丸代
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2024年03月24日
動物専門員の日常#08“カピバラ~体重測定ができるまで②”
みなさん、こんにちは。
カピバラの体重測定の続きの話です。
カピバラ~体重測定ができるまで①~でお知らせした通り、カピバラのチャーシューとメンマの体重測定に挑戦をしています。
まずは体重計の上にのせるオレンジの上板に慣れてもらうことが大切で、展示場に置いて2頭の様子を観察することにしました。
1か月程過ぎ、だいぶ慣れてきたころから本格的にハズバンダリートレーニングをスタートさせました。
オレンジの上板への脱感作がクリアできたとはいえ、すんなり台に乗ってくれることはありません。
このときの私にできることと言えば、根気よく待つことと観察をしながら、ハズバンダリートレーニングを日々、重ねていくことです。
メンマは少し繊細な性格で、乗る際にほんの少しでも板が傾くと驚き、離れていくことが多かったです。
ぐらつかないように板を押さえながら心の中で何万回も「大丈夫、怖くないよ」と言っていたような気がします。
THE・忍耐。
恐る恐る踏み出していた一歩が、日々のトレーニングを重ねるごとにはっきりとした一歩に変わっていきます。
両前肢が乗り、後肢も乗り、台の上で“座る”、台からおりるができるようになるまで小さな進歩がとても楽しみでした。
さて、そんなこんなでやっと、計測することができた2頭の体重は
チャーシュー49.9kg、メンマ52.0kg(3月時点)
2頭を見比べるとチャーシューは頭頂部(いわゆる顔の部分)が大きいので、メンマと比較して体重が重いのではないかと思っていましたが実際は逆でした。
目方だけでは分からないですね。
ハズバンダリートレーニングは動物園や水族館で野生動物の健康管理のために広まったトレーニング方法です。
一見すると簡単そうに見えますが、行動分析学などを踏まえながら動物たちが自主的にトレーニングに協力できるように進めていく必要があります。
ここまでなが~~い道のりでしたが、
これからも定期的に行い、動物たちの健康管理の一環に役立てたいです。
チャーシュー、メンマいつもありがとう。
動物専門員 あお
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2024年03月20日
ふれあい広場からのお知らせ
2024年3月8日にケヅメリクガメの「キャサリン」(メス、推定35才)が死亡しましたので謹んでお知らせ申し上げます。
キャサリンは2013年よりオスの「ヨシハル」との繁殖制限のため、同時期に誕生した子供の「ワカバ」と「アオバ(現在は転出しています)」と共に、太陽の動物舎からふれあい広場に移動して飼育していました。
(左から、キャサリン、ワカバ、アオバ)
いつもパワフルな姿で、お散歩タイムでも大人気でたくさんの子供たちから囲まれても動じることなく堂々と前に歩き続ける姿が印象に残っています。子供たちにもふれあいを通して、たくさんの学びを与えてくれていたと思います。お散歩が大好きで、時にはなかなか帰ってくれず30㎏あるキャサリンを持ちかかえて、なんとか帰ってもらう事もありました。。(^_^;)笑
一緒に暮らしていた娘のワカバともとても仲が良く、2頭そっくりな姿で並んでお昼寝をしていたり、周りを眺めていたり、お散歩したり、そんな2頭だけのほっこりとした優しい空間はたくさんの癒しを与えてくれました。
お昼寝するワカバに寄り添うキャサリン(左:キャサリン、右:ワカバ)
口にごはんをつけてワカバと探検中(左:キャサリン、右:ワカバ)
今回キャサリンがなくなった原因となったのは「膀胱結石」でした。
ケヅメリクガメは野生ではアフリカ大陸の飲み水がほとんどないような、かなり乾燥した地域に生息していて、水分は主に餌となる多肉植物などから摂取していると言われています。その為、飼育下でも自力での水分摂取が少なく、特に冬場は水を飲む姿はほとんどありません。
しかしお水を飲まずに生活していると尿中の尿酸が塊となり「尿酸結石」ができやすくなってしまいます。予防としては十分な水分摂取(水分の多い餌や温浴など)、栄養バランスのとれた食事、適切な運動などで、ある程度は予防できます。ふれあい広場でも出来る限り温浴などの予防や、早期発見の為、定期的な検査に努めてきましたが、このような結果になり、もっと出来ることがあったのではないかと後悔が残っています。
温浴中のキャサリン
大好きなキュウリで水分補給のキャサリン
寒さにより展示を中止しバックヤードでの飼育期間で、みなさまともしばらくお会いできていなかった間と言う事もあり、とても残念でならない気持ちですが、今までキャサリンが残してくれた学びを今後に活かし、心から追悼の意を込めて、キャサリンが安らかに眠れるよう、スタッフ一同祈っております。
尚、ワカバについては今のところ変わらず元気で、今月行った定期検査でも異常はありませんでしたが、引き続き注意深く観察を続けていきたいと思います。
温浴中気持ち良さそうに手を伸ばすキャサリン
また、同日にホロホロチョウの「ハナミズキ」(メス、推定7才)も腎不全により死亡しました。
ぱっと見た感じ同じように見えるホロホロチョウたちですが、実は結構個性があります。
ハナミズキは、引っ込み思案なほうでいつも群れの後ろでこちらの様子を伺っているようなタイプでした。体調を崩し始めたのは昨年の9月頃です。元気はあるものの、毎月の体重測定で体重減少が続いていたので検査を行うと肝臓や白血球の数値が悪くなっていました。
通常であれば投薬や治療、健康観察のために他の個体と分けて療養してもらいたいところではあったのですが、ハナミズキの性格上、群れと分けてしまうと精神的なストレスにより食欲不振や状態の悪化に繋がってしまう恐れもあったので、投薬や治療も出来る範囲で続けながら最後までみんなと一緒に過ごしました。
みんなと広場を歩くハナミズキ(一番右)
引っ込み思案な割に、治療のときは抵抗してスタッフや獣医さんをつついたり、怒って大きな鳴き声をあげたり、結構我が強いところがあることも発覚しました(笑)
検査中に怒るハナミズキ
最後のほうは餌を食べる気力もなくなってしまい、目を瞑ってじっと座っていましたが生命力が強く最後まで長く生きてくれました。キャサリンと共に冥福を祈りたいと思います。2023年のはじめには6羽飼育していたホロホロチョウも現在は3羽となり、残っている個体も高齢のため今後もどうか元気に過ごせますようにと願うばかりです。
現在飼育しているホロホロチョウたち(左からスズラン推定7才、スカリー12才、ニコル13才)
いつも応援の声を頂きありがとうございます。
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