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2024年03月28日
資料館レポ №29 図書室に新しい本が入りました
先日、新しい本が、たくさん入りました。
その中から、気になる本を一冊ご紹介したいと思います。 『キリンのひづめ、ヒトの指 比べてわかる生き物の進化』( 郡司 芽久 著 NHK出版) です。
著者は、「キリン博士」とよばれる解剖学者です。その名のとおり、キリンを中心に研究をされています。前著「キリン解剖記」は話題になったので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。
解剖や解剖や比較によって、進化の過程をつまびらかにしてく著者は、多種多様な体の構造を深く掘り下げ、多種多様に生きていく仕組みを、日々目にしています。 たとえば、ヒトにはしっかりある鎖骨が、多くの動物では退化してなくなっていること、文字どおり「手のひらを反す」ことができるのはヒトだけであることなどをあげて、ヒト自体がかなり「特殊な生き物」であり、「普通は…である」という「先入観にとらわれず、豊かな知識をもって正確に世界を見ていきたい」というのです。
著者がしっかりと生き物の体と向き合ったからこそ、もれでてくる言葉は、しっかりと私たちの心にも浸透していきます。 この本は「生きる仕組み(生態)を知ることは、生き方(心の持ち方)を知る」ことになるのだと教えてくれているようです。
エッセイを目指したというこの本では、生物学的な難しい言葉や言い回しは出てきません。
「学校の「生物」の授業、眠かった~ !」という人も大丈夫です。超文系人間の私がお薦めします ;-)
ぜひ、手に取ってご覧ください。
著者が初めて解剖したキリン(王子動物園のマサイキリン「夏子」)
図書 丸代
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2024年03月24日
動物専門員の日常#08“カピバラ~体重測定ができるまで②”
みなさん、こんにちは。
カピバラの体重測定の続きの話です。
カピバラ~体重測定ができるまで①~でお知らせした通り、カピバラのチャーシューとメンマの体重測定に挑戦をしています。
まずは体重計の上にのせるオレンジの上板に慣れてもらうことが大切で、展示場に置いて2頭の様子を観察することにしました。
1か月程過ぎ、だいぶ慣れてきたころから本格的にハズバンダリートレーニングをスタートさせました。
オレンジの上板への脱感作がクリアできたとはいえ、すんなり台に乗ってくれることはありません。
このときの私にできることと言えば、根気よく待つことと観察をしながら、ハズバンダリートレーニングを日々、重ねていくことです。
メンマは少し繊細な性格で、乗る際にほんの少しでも板が傾くと驚き、離れていくことが多かったです。
ぐらつかないように板を押さえながら心の中で何万回も「大丈夫、怖くないよ」と言っていたような気がします。
THE・忍耐。
恐る恐る踏み出していた一歩が、日々のトレーニングを重ねるごとにはっきりとした一歩に変わっていきます。
両前肢が乗り、後肢も乗り、台の上で“座る”、台からおりるができるようになるまで小さな進歩がとても楽しみでした。
さて、そんなこんなでやっと、計測することができた2頭の体重は
チャーシュー49.9kg、メンマ52.0kg(3月時点)
2頭を見比べるとチャーシューは頭頂部(いわゆる顔の部分)が大きいので、メンマと比較して体重が重いのではないかと思っていましたが実際は逆でした。
目方だけでは分からないですね。
ハズバンダリートレーニングは動物園や水族館で野生動物の健康管理のために広まったトレーニング方法です。
一見すると簡単そうに見えますが、行動分析学などを踏まえながら動物たちが自主的にトレーニングに協力できるように進めていく必要があります。
ここまでなが~~い道のりでしたが、
これからも定期的に行い、動物たちの健康管理の一環に役立てたいです。
チャーシュー、メンマいつもありがとう。
動物専門員 あお
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2024年03月20日
ふれあい広場からのお知らせ
2024年3月8日にケヅメリクガメの「キャサリン」(メス、推定35才)が死亡しましたので謹んでお知らせ申し上げます。
キャサリンは2013年よりオスの「ヨシハル」との繁殖制限のため、同時期に誕生した子供の「ワカバ」と「アオバ(現在は転出しています)」と共に、太陽の動物舎からふれあい広場に移動して飼育していました。
(左から、キャサリン、ワカバ、アオバ)
いつもパワフルな姿で、お散歩タイムでも大人気でたくさんの子供たちから囲まれても動じることなく堂々と前に歩き続ける姿が印象に残っています。子供たちにもふれあいを通して、たくさんの学びを与えてくれていたと思います。お散歩が大好きで、時にはなかなか帰ってくれず30㎏あるキャサリンを持ちかかえて、なんとか帰ってもらう事もありました。。(^_^;)笑
一緒に暮らしていた娘のワカバともとても仲が良く、2頭そっくりな姿で並んでお昼寝をしていたり、周りを眺めていたり、お散歩したり、そんな2頭だけのほっこりとした優しい空間はたくさんの癒しを与えてくれました。
お昼寝するワカバに寄り添うキャサリン(左:キャサリン、右:ワカバ)
口にごはんをつけてワカバと探検中(左:キャサリン、右:ワカバ)
今回キャサリンがなくなった原因となったのは「膀胱結石」でした。
ケヅメリクガメは野生ではアフリカ大陸の飲み水がほとんどないような、かなり乾燥した地域に生息していて、水分は主に餌となる多肉植物などから摂取していると言われています。その為、飼育下でも自力での水分摂取が少なく、特に冬場は水を飲む姿はほとんどありません。
しかしお水を飲まずに生活していると尿中の尿酸が塊となり「尿酸結石」ができやすくなってしまいます。予防としては十分な水分摂取(水分の多い餌や温浴など)、栄養バランスのとれた食事、適切な運動などで、ある程度は予防できます。ふれあい広場でも出来る限り温浴などの予防や、早期発見の為、定期的な検査に努めてきましたが、このような結果になり、もっと出来ることがあったのではないかと後悔が残っています。
温浴中のキャサリン
大好きなキュウリで水分補給のキャサリン
寒さにより展示を中止しバックヤードでの飼育期間で、みなさまともしばらくお会いできていなかった間と言う事もあり、とても残念でならない気持ちですが、今までキャサリンが残してくれた学びを今後に活かし、心から追悼の意を込めて、キャサリンが安らかに眠れるよう、スタッフ一同祈っております。
尚、ワカバについては今のところ変わらず元気で、今月行った定期検査でも異常はありませんでしたが、引き続き注意深く観察を続けていきたいと思います。
温浴中気持ち良さそうに手を伸ばすキャサリン
また、同日にホロホロチョウの「ハナミズキ」(メス、推定7才)も腎不全により死亡しました。
ぱっと見た感じ同じように見えるホロホロチョウたちですが、実は結構個性があります。
ハナミズキは、引っ込み思案なほうでいつも群れの後ろでこちらの様子を伺っているようなタイプでした。体調を崩し始めたのは昨年の9月頃です。元気はあるものの、毎月の体重測定で体重減少が続いていたので検査を行うと肝臓や白血球の数値が悪くなっていました。
通常であれば投薬や治療、健康観察のために他の個体と分けて療養してもらいたいところではあったのですが、ハナミズキの性格上、群れと分けてしまうと精神的なストレスにより食欲不振や状態の悪化に繋がってしまう恐れもあったので、投薬や治療も出来る範囲で続けながら最後までみんなと一緒に過ごしました。
みんなと広場を歩くハナミズキ(一番右)
引っ込み思案な割に、治療のときは抵抗してスタッフや獣医さんをつついたり、怒って大きな鳴き声をあげたり、結構我が強いところがあることも発覚しました(笑)
検査中に怒るハナミズキ
最後のほうは餌を食べる気力もなくなってしまい、目を瞑ってじっと座っていましたが生命力が強く最後まで長く生きてくれました。キャサリンと共に冥福を祈りたいと思います。2023年のはじめには6羽飼育していたホロホロチョウも現在は3羽となり、残っている個体も高齢のため今後もどうか元気に過ごせますようにと願うばかりです。
現在飼育しているホロホロチョウたち(左からスズラン推定7才、スカリー12才、ニコル13才)
いつも応援の声を頂きありがとうございます。
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2024年03月20日
ゾウ舎にて、その後
以前ゾウ舎の寝室にウッドチップを入れた話をしました。
今回はその後です。マックですがウッドチップを入れる前は夜間に1~2回、座り込んで休む時がありました。
それでも1~2分で立ち上がってしまうため、休んでいるとは言えない状態でした。ウッドチップを入れてからは座り込む時間が6~7分と延びました。
そして3週間ほどたつと、座った状態から前肢を伸ばし伏せる様な状態で休む様になりました。
休んでいる時間も長いときは20分を超えます。
一晩に2度伏せて休む時もあります。
これはかなりの足の負担軽減になっていると思います。
足が疲れて壁にもたれかかって休む時間も少し短くなりました。グラウンドに入れた川砂と寝室に入れたウッドチップで、足への負担が減れば、動物福祉の面からも良かったと考えられます。
これからも動物のことを考えて、色々な改善をしていきたいと思います。やん
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2024年03月20日
動物専門員の日常#07“カピバラ~体重測定ができるまで①”
みなさん、こんにちは。
今日は、カピバラのお話です。
王子動物園には2つの場所でカピバラを飼育しています。
1つは動物とこどもの国エリアの“パピコ”・“モナカ”チームともう1つは、オオアリクイのすぐ隣に位置しているカピバラたち“チャーシュー”・“メンマ”・“アサヒ”チームです。
“チャーシュー”・“メンマ”の体重測定について紹介します。
健康管理に欠かせないのが体重測定です。体重が分かることによって、日々の餌の量の調整や病気になったときの投薬量の計算にも役に立ちます。
無理やり捕まえて体重測定をしたり、追いかけて測定台に乗ってもらうこともできますが、それではストレスになったり、逆にケガを引き起こし、体調を心配することになります。
“チャーシュー”と“メンマ”は人(飼育員)としっかりとコミュニケーションがとれるタイプ&過去にトレーニングを実施していた時期もあったため、少し前から体重測定のためのハズバンダリートレーニングを本格的に実施することにしました。
ハズバンダリートレーニングについて聞きなじみのある方、多いのではないでしょうか?健康管理のため、王子動物園ではジャイアントパンダの“タンタン”をはじめ、さまざまな動物種で取り入れられている方法です。日本語で直訳すると、受診動作訓練(じゅしんどうさくんれん)。動物を長期間にわたり健康的に、なおかつ動物も人も安全性に飼育するためのトレーニング方法です。
トレーニングを始める前に、まずは、体重計の上に置くオレンジ色の板が怖いものではなく、安全なものだと知ってもらうために数か月の間、運動場に置いてみました。
はじめましてのときはこんな感じ。興味深々で近づいてきてくれてます。
次に、餌(青草と竹)を台の上に置いて食べてもらうことにしました。
あまり警戒せずに食べてくれています。いい感じです。
動物たちは初めて見るものは恐怖心を感じやすいので徐々に慣らし、普段の暮らしの中で無視できるようにしていくことが必要になります。
これを少し専門的な言葉で“脱感作(だつかんさ)”といいます。
今回は既に展示場に設置してある板と同じ色・サイズにしたのでスムーズに進むことができました。
ある朝の様子です。餌を食べ終わった後、“チャーシュー”がくつろいでウトウトとしていました。「めちゃくちゃ、慣れてくれてるやん・・・!ヽ(。・ω・)ノ゛」
これには、思わず笑ってしまいました。
さて、ここから少しずつトレーニングを行っていきます。
今は既に2頭とも、順番に台の上に乗るトレーニングが完成しているのですがそれまでいろいろとあったので次回、ご紹介します。
お楽しみに。
動物専門員 あお
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2024年03月19日
獣医チームからのお知らせ(タンタンの体調について)
本日は、タンタンの現在の体調についてお伝えしたいと思います。
以前お伝えしましたが、タンタンは、昨年10月頃よりトレーニングに集中力を欠いたり、散発的に薬を飲まず投薬が不安定になる状態になっていました。
また、液体栄養剤のみで栄養を摂取し、竹などを食べない状態も続いていました。
その後、投薬の不安定さはやや改善しました。
しかし、数日前から行動量が増加したり、液体栄養剤を飲まないなどの食欲低下傾向が認められ、投薬も不安定になっています。
今は栄養分が摂取できるよう、日中双方の専門家で検討し実施している状況です。
いつも皆さんがタンタンを気にかけていることに大変感謝申しあげます。
今後も必要に応じてタンタンの体調をお知らせしますので、タンタンの応援をよろしくお願いいたします。
王子動物園 獣医チーム
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2024年03月13日
動物専門員の日常 #06 “動物たちへのエサやり~給餌編~”
こんにちは。動物を飼育する上で大切な“3つのじ”の紹介シリーズ、掃除編・調餌編と続き、最後に給餌(きゅうじ)の紹介をしたいと思います。
給餌…餌やりのことで、この仕事が1番イメージしやすいかもしれません。
給餌の方法は動物種の生態や生理、個体の性格や群れのパワーバランスなどに合わせて決めていくので、様々なバリエーションがあります。
例えば、カルフォルニアアシカのように飼育員の手から餌を与える方法やカピバラのように展示場に竹などの餌を常に置いておき、
動物が好きなタイミングで食べる方法、小猿舎のサルたちのように寝室へ設置し、収容作業のときに誘導する方法などあります。
今日は、小猿舎のワオキツネザルの給餌を紹介したいと思います。
餌がこちら。調餌編で準備した野菜や果物です。
食べている様子がこちら。
よくみると、トレイの中から選んで食べているのが分かりますか?
種の生態や個体の性格、群れのパワーバランスにも寄りますが、好きなものから先に選んで食べることが多いです。
準備した餌(野菜や果物)を目の前で食べてくれるのはとても嬉しいです。給餌の時間は、近くで動物がきてくれるのでケガがないか、餌をとりに来てくれているか、きちんと食べることができているのか、残餌はどのぐらいなのかなどを観察できるチャンスでもあります。
掃除編でも紹介した通り、まずはいつも通りの状態を知ることがとっても大切。日々、試行錯誤をしながら掃除⇔調餌⇔給餌を行っています。
さて、3つのシリーズに渡り、飼育員のお仕事の基本(3つのじ)の紹介しました。みなさん、いかがでしたか?(*・ω・)ノ
私はこの“3つのじ”を初めて知ったときに、
まるで、“焼き鳥屋の秘伝のタレ”をつくるような仕事だと思いました。
継ぎ足し、継ぎ足しながら美味しいタレが少しずつ出来上がっていくように、飼育の仕事も動物たちにとって最善な環境は何か、動物園や水族館は来園者にとってどうあるべきなのかを考えつづけ、積み重ね、積み重ねながら駒を1つずつ進めていくようだと。
この他にも、獣舎環境の整備や獣医チームと連携しながらの病気の治療、動物福祉や繁殖への取り組み、ハズバンダリートレーニングや環境エンリッチメント、調査研究活動、ガイド・イベント講演やSDGsの活動など紹介したいことがたくさんありますので、またブログで紹介しますね((((((っ・ω・)っ ブーン
動物専門員 あお
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2024年03月12日
王子動物園がリニューアルをはじめます
王子公園再整備基本計画がとうとう公表されました
基本計画とは、、
「政策や事業における基本的な方針とその内容、プログラム、(中略)など、基本構想を受けて、当該敷地や地区の立地条件や事業実施のための具体的な課題や条件を整理し、具体的な対応策や発想を示し事業概念の確定や代替策の検討、ボリューム検討、諸手続きフローの確認、事業費概算等、事業実施のための青写真を示すことで、具体的な設計の指針とするもの。(Wikipediaより)」とありますまだまだ具体的な整備内容はこれからなんですね
王子動物園リニューアル基本構想でも謳われておりましたが、
「六甲の豊かな緑を感じ 動物と人がいきいきと過ごしながら 世界につながる動物園」
をコンセプトとしていて、
基本計画でも、豊かな緑・いきいき・世界につながる が大事なポイントになってます
また、王子動物園で初めて設定したコレクションプラン、動物園内のゾーニング、展示方法の工夫など、新たな情報も記載されています
これらを、どのように実現していくのか、動物園職員でいながらもとてもとても楽しみです
多くの方から応援の声も届いています!ありがとうございます!!
王子動物園は、
これからもずーーーっと一緒に、もっと動物にやさしく、生まれかわります
詳しくは王子動物園HPをご覧ください。↓
https://www.kobe-ojizoo.jp/renewal.html
M(マンを持して) -
2024年03月07日
エゾヒグマ「ロクジ」の治療
クマ科の動物は、高齢になると、下半身の麻痺などがおこることが多いです。
エゾヒグマ「ロクジ」(32歳)も、後肢のふらつきが現れたため、以前ウマグマ「ボー」が療養した時にバリアフリー仕様にしていた北クマ舎に、2022年に移動し、療養中です。
下半身を動かせないので、おしりや腰の骨が出っ張っている部分に、褥瘡(じょくそう(床ずれのこと))ができます。
小型や中型の動物ならクッションなどに寝かせますが、大型の猛獣ではなかなか難しいです。
少しでも緩衝材になるよう、寝室の床には牛用のゴムマットを敷き、そのうえにワラを敷いて、飼育員と獣医が毎日治療に取り組んできましたが、褥瘡は悪化する一方でした。そんな時に、全国の動物園が集まる研究会に参加し、ある動物園の発表を拝見しました。
様々な繊維を中心に扱う企業の東洋紡エムシー株式会社と連携し、人やペットの褥瘡のケアにも活用されているマットレスを用いて、カンガルーやヒツジの褥瘡の予防に成功したというものです。
従来のマットレスより体圧分散や通気性に優れているとのことでした。動物園に戻り、飼育員や獣医たちと相談しました。
中型の動物で成功したとはいえ、クマに使えるのだろうか、壊されてしまうのでは、などの懸念もありましたが、とにかくやってみようということで、その動物園に連絡し、東洋紡エムシー株式会社を紹介していただきました。同社に連絡すると、クマでの効能を調査する目的で、まずはサンプルとしてマットレスをご提供いただき、硬さや厚みなどについて丁寧に相談にのっていただきました。
ロクジの寝室の床に敷いてみると、ロクジはマットレスの上におとなしく座っており、どうやら気に入ってくれたようでしたが、人用の布製ベッドカバーは一瞬で引き裂かれました。
水を通しながらもクマに破られにくい強い素材のカバーを探し出すなど試行錯誤しながら、毎日、傷口の処置をし、治療を続けました。同社のご担当者様にもご来園いただきロクジの様子を直接見てもらったうえで、意見交換をしながら治療を続け、一時は骨が見えるほどに悪化していた褥瘡の傷が、数ヶ月後、ほとんどふさがってきています。このため、先日から観覧を再開し、屋外でゆっくり過ごすロクジの姿を久しぶりにご覧いただいています。
ただ、当初はおとなしく座っていたロクジが、マットレスやカバーを爪で破るようになってきています。
元気になってきた証拠やね、と苦笑しながら、飼育員たちが毎日補修に追われています。マットの有用性も確認できたので、今後はこのマットを継続的に購入・使用していく予定です。
マットレスのサンプル提供とご相談にのっていただいた東洋紡エムシー株式会社様と、貴重な症例をご報告いただいた動物園様に、心より感謝申し上げます。
これからもロクジができるだけ快適に過ごし、長生きできるよう、努めていきます!
マットレスの上でくつろぐロクジ
ション
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2024年03月06日
チームタンタン日記(3)
ついこの間、新年を迎えたと思ったらもう三月なんですね~
花粉症対策が必要な季節に少し憂鬱なこの頃の僕です(笑)
さて話は変わり皆さん本命の、最近のたんたんさんの状況のお話などをしていきたいと思います。
現在28歳と高齢でもあり、寒さに強いジャイアントパンダではありますが、あまり寒暖差がつき過ぎるのも体調を崩す恐れもあるので、最近では夕方から朝まではエアコンで屋内展示場の温度調節を行い、晴れた日等は庭に出してあげたい所ですが、屋外の温度によっては屋内で過ごして貰う様にしています。
そんな事を知らないたんたんさんは「お外に出して~」と、アピールしてくる事もありますが、そこはたんたんさんの体調を考え心を鬼にしてアピールに耐えていますよ(笑)
そして最近、たんたんさんがよく行う行動に晩御飯用の竹を布団代わりにし、その上で眠っている姿を僕もよくX(元Twitter)に投稿しています。
なぜあのように使用しているのかは、本人に聞いてみないとわかりませんが、とにかく竹の布団がお気に入りになっています(笑)
そこで皆さんも気になっているであろう、最近のたんたんさんのお食事事情ですが、年齢や心臓疾患の影響もあり竹や、大好きなリンゴや人参の採餌量は病気が見つかった、この約三年の間にゆっくりではありますが減少傾向にありました。
そして近況では昨年の10月頃から全く竹やリンゴなどを食べなくなり、毎日与えている薬入りのジュースと、水しか飲まない状況が続いています。
ただ毎日のお薬の中には栄養剤も混ぜていますので、たんたんさんは栄養補給は出来ており、今も体調は安定した状態を保っているので、皆さんもご心配しないで下さいね。
当然、僕たち『チームタンタン』、中国から来てくれている獣医師などたくさんの目で、たんたんさんの小さな体調変化にも気がつける様に管理出来る状況を作っています。
ただやはり少しでも食べてもらいたいと言う気持ちは僕らみんな持っていますので、これから春から夏にかけてはたんたんさんの大好きな筍も出てくるので、たんたんさんに少しでも何か食べてもらえる様に、色々探していきたいと思います。
皆さんにも引き続きたんたんさんの応援をお願い出来ればと思います。
うめもと りょうじ
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