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最新ニュース

  • 2023年07月27日

    動物園で仕事をしています

    王子動物園での仕事に就いて、4か月を迎えようとしています。

    今回は、開園日のとある仕事でのことについて。

    休園日に普段できない工事・修理を集中的に行うことは、前回、書きました。しかし、施設・設備の突然の不具合の発生は、そんなに都合を合わせてはくれません。

    本日は猛暑の開園日。暑い中頑張っている飼育員さんには頭が下がります。キリンの飼育員さんより、朝イチで獣舎の修理の依頼。設備担当職員が修理業者を手配し、午後からの修理現場の立ち会いに一緒に向かいました。

     

    DSC_9878

     

     

    普段は入れないキリン舎の中。

    天井が高っ~い。

     

    キリン舎に向かう通路は、キリンの展示場の西側。普段とは違う風景です。

    西側の柵の外から、キリンの方からの皆さんを見る目線をレポートできるかな。

     

    DSC_9871

     

    こんな感じです。柵の向こう側が皆さんがキリンと対面するところ。キリンからの目線?

    (この時間、来園の方々はいませんでした。)

     

    しばらくして戻ってみると、あら、ヒメイチが出てきていました。

     

    DSC_9888

    (柵越しなので、上部に金属棒が映ってしまってます)

     

    DSC_9896

     

    静かにじっとしていたのに、こちらに気づいて。

     

    DSC_9899

     

     

    しなやかな足取りで、ゆっくり、近づいてきてくれました。

     

    DSC_9917

     

    「こんなところで何しとん。」とヒメイチ

    (確かに、私のいるところは草むらの中です。)

     

     DSC_9937

     

    こちらから、話しかけるも、返事はないけど、優しいまなざしで見つめられ、じっと聞き入ってもらってました。

     

    柵1つ挟んで近づくと、わかった。

    キリンの脚って細いという印象でしたが、実は蹄のところはデカい!

     

     

    DSC_9923

    この写真でわかっていただけるかなあ。

     

    レポートにはなりませんでしたね・・・

     

     

    (追記)

    暑くなり、今年もミストシャワーをしています。

    来園されましたら、浴びてください。熱中症にならないように気を付けてください。

     

    ミストシャワー(使用分)

     

     

     

     

    (おまけ)

     

    フラミンゴ(使用分)

     

     

     

    前回のブログでお知らせした、2か月前に生まれたベニイロフラミンゴの赤ちゃんが、こんなに大きくなりました。成長のなんと早いこと。もふもふ感もずいぶん減ってます。

    先日、3羽目も生まれています。是非、成長の様子を見に来てください。

     

     

     

    〔 目指せ、動物園ボーイ 〕

  • 2023年07月25日

    ZiZi通信 No.78 気持ちよさそうで・・・・

     

    暑い暑いこの頃  いかがお過ごしでしょうか?

    ZiZi1号 暑さに負けず、頑張っております。

    先日アシカ池を通りかかりましたら、スミレが気持ちよさそうでしたので、

    写真でどうぞ!

    水しぶきをあげて、こちらに進んできます。

    いい感じ!

    カット1

     

     

     

    ずんずんと

     

     

    カット2

     

     

    おお! 涼し気!  できれば私も・・・・(禁句です)

    DSC07414

     

     

    おまけ : 最近少なくなっているニイニイゼミみつけました。

    IMG_6049

     

     

    ZiZi1号

     

  • 2023年07月22日

    資料館レポNo.25 ジャイアントパンダ「カンカン」の剥製がやってきました!

    ご存知の方もいらっしゃると思いますが、6月24日(土曜)から動物科学資料館の特別展示室において、特別展『「天津・神戸」友好都市50周年』を開催しています!

     

    なんとあの有名なジャイアントパンダ「カンカン」の剥製が、特別ゲストとして多摩動物公園からやってきてくれました!

     

    IMG_0495

     

     

     

    特別展の見どころはたくさんありますが、個人的に剥製好きな私にとっては、中国の野生動物たちの剥製が大集合したコーナーはなんとも迫力があって目がくぎづけになるほどかっこいいので、ぜひ見ていただきたいポイントです。

     

    IMG_0496

     

     

     

    特別展は2023年6月24日(土曜)~8月15日(火曜)まで開催しています。

     

    まだ見に来られていない方も、一度見に来てくださった方もぜひお越しください。

     

    たくさんの剥製たちがみなさんをお待ちしています!

     

     

    最後に、ブログを読んでくださった方に少しレアな情報をプレゼント。

     

    実は…資料館出入口のガラストンネルのガラスは、ポートピア博覧会のパンダ館で実際に使われていたガラスを使用しているのです!

     

    パンダ130

     

     

    パンダ132

     

    通るときは思い出してみてくださいね~!

                                  収蔵子

  • 2023年07月08日

    ミユキ(ホッキョクグマ)の臍ヘルニア手術について

    いつもは検査方法等を紹介していますが、今回は今年の3月22日に実施したミユキの手術について書こうと思います。

     

    ちょっと長めですが、ご容赦ください。

     

    実はミユキは過去にもヘルニア手術をしています。

    直近では2016年9月に実施しましたが、完治には至りませんでした。

     

    術後しばらくするとヘルニア嚢(お腹の黒いモノの正式名称)が少しずつ大きくなり、5年前はソフトボール大(プールに入ると目立つ程度)に、今年に入ってからはバスケットボール大になっていました。

     

    誰が見てもわかる状態になってからは、「ミユキのお腹の黒いものは何?」「治療しないの?」という疑問の声を聞くことも増えました。

     

    今回、王子動物園ではどのような方針でミユキを治療したのかを説明し、皆さんの疑問にも同時に答えられればと思います。

     

    まず、ミユキのヘルニア嚢について、飼育・獣医は早い段階から把握し、症状の推移を注視していました。

     

    「早期発見したなら、早く治療したらいいのでは?」との考えもありますが、手術をしなかった理由は3つあります。具体的には、

    ① ヘルニア嚢の中身が脂肪であれば健康に大きな支障がない。

    ② 国内最高齢のミユキにとって、長時間の外科手術はリターンよりリスクが大きい。

    ③ ホッキョクグマの臍ヘルニア手術は例数も少なく、術式も決まったものがない。

    です。

     

    臍ヘルニアにはいくつか種類があります。

    一番恐ろしいのが「嵌頓(かんとん)ヘルニア」という、ヘルニア嚢の中に腸管が入り込む状態です。

    激痛を伴う腸閉塞のリスクがあり、場合によっては命も落とします。

    そのため、飼育・獣医で相談し、ヘルニアが少し大きくなった時点で一度全身麻酔をかけ、ヘルニア嚢の中身が腸管ではないことを確認しました。

     

    とはいえ、いつ嵌頓ヘルニアに移行するかは誰にもわからないため、緊急手術の可能性を考慮し、過去の手術例や、人の手術方法なども参考にしながら、術式と必要な道具について獣医チームで探索し準備を整えました。

    しかし、準備が整った後も高齢個体であることを考慮し積極的な手術実施は行いませんでした。

     

    その後、大きくなったヘルニア嚢の表面が展示場の岩で擦れ、傷ができました。

    岩の一部を削って滑らかにする工事もしましたが、傷はなくなりませんでした。

     

    このまま傷が悪化すると、夏には傷口の化膿や、ハエが傷口に卵を産んでしまう(蛆がわく)ことが予測されました。

     

    手術をせず、夏の期間は室内で過ごし続けるという方法もありましたが、展示場に出るのが好きなミユキにとっては大きなストレスになるだとうと考え、手術実施について本格的な調整を始めました。

     

    ペットの犬や猫と違い、大型動物は簡単に保定も出来ないため、術後管理がとても難しく、術部の治療期間を考慮して逆算すると、3月末が手術実施のタイムリミットだろうと、関係者で認識を共有しました。

     

    ただ、ミユキの年齢を考えると100%成功する確証はなく、リスクの大きな手術だったので、担当飼育員と獣医でしっかりと意見を交換し、最悪の事態について全員が理解したうえで実施を決定しました。

     

    手術中の詳細は省略しますが、傷口の状態が悪く、想定よりも長時間の手術となりました。

    手術自体はなんとか成功しましたが、術後状態は良いとは言えず、しっかりと回復するかはミユキの体力頼みでした。

    回復には、感染リスクを極力減らし、しっかりと食べて休んでもらうことが重要なため、長期にわたって観覧中止とし、寝室で療養をしていました。

     

    その後、ミユキの状態は徐々に回復に向かい、飼育・獣医は一安心していました。

     

    しかし、数日してミユキが檻に体を擦りつける動きが目立つようになりました。

    擦っている皮膚の状態は徐々に悪化し、最終的には大きな傷が出来てしまいました。

    検査の結果、背中と臀部(おしり)の一部に血流障害等が生じたことが分かりました。

    長時間の手術、ミユキ自身の体重による負荷、高齢のため筋肉が少なくなっていたこと、手術中に同じ姿勢(麻酔中の覚醒対策として四肢をロープで固定)で保温マットに接していたことなど、複合的な要因があったのだと考えています。

    この点については関係者で共有し、次回以降の対策を決めました。

     

    この傷の治療によって、当初の予定よりミユキの観覧中止期間は伸びましたが、結果的にはより長期の療養期間をとることで、ヘルニア手術の患部はしっかりと回復したと思います。

     

    再発の可能性はゼロではないため、今後もしっかり注視していく必要がありますが、ミユキは以前と同じように元気に展示場を闊歩し、雪山を掘っています。

     

    展示場の奥で寝ている時もありますが、お婆ちゃんなので優しく見守っていただければと思います。

     

    次回はデメオの抜歯について紹介出来ればと思います。

     

    王子の獣医

    図3

  • 2023年07月03日

    六甲山の自然 2 モリアオガエル

    モリアオガエルRhacophorus arboreus

    日本の固有種。本州のほぼ全域に分布。

    Bランク(神戸版レッドリスト2020)

    Bランクとは、神戸市内において絶滅の危機が増大している種など、生息・生育環境、自生地などの保全が必要な種

     

    モリアオガエルは地方によっては天然記念物に指定されています。六甲山系では、西宮市、芦屋市、神戸市で確認しています。繁殖期は池の周辺に生息するが、非繁殖期には池から離れた樹林内などに生息します。

    雨の日に六甲山に登ると、近くに池もない稜線沿いの登山道で見つけたこともあります。

    成体のサイズは、雄が約40-60mm、雌が約60-80mmと大きなカエルです。

    雨の日のモリアオ

     

    六甲山では5月下旬から6月にかけて産卵が見られます。

    池に張り出した木の枝先のほうに白い泡状の卵を産みます。

    産卵は夜間に行われるため、昼間に姿を見られることは少ないです。

    産卵から1~2週間ぐらいで、孵化したオタマジャクシは、池に落ちて育ちます。

    モリアオガエル抱接

    モリアオガエル卵

     

     

    6月に六甲山に行くとモリアオガエルが「コロコロ」と鳴いているので卵を見つけるのは比較的容易です。コンクリートで囲まれた人工の池でも卵をたくさん見つけています。「えっ、こんな池に」と思うところでも生息していることがあります。希少なカエルなので捕まえずに見守って下さいね。

     

    モリアオガエルの繁殖時期には、いろんな種類のアジサイが咲いているので、梅雨の時期の楽しみでもあります。

     

    アジサイ2 アジサイ1