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  • 2016年09月10日

    えんちょうさんぽ68 「動物園の定番動物を考える」

       王子動物園は昭和26年に開園しました。このころからの定番の動物といえば、ゾウ、キリン、チンパンジーやライオンなどです。

     この時期、全国でも公立の動物園がたくさん誕生しています。動物の収集については野生から導入できた時代で、売り込みに来た動物商も多かったようです。しかし、野生動物の保護が求められ、ワシントン条約ができてからは動物のほとんどは動物園生まれ、動物園育ちのいわゆる動物園動物になっています。

     動物園をめぐる様々な状況から将来この定番動物が観られない心配があります。これを動物園の2030年問題と呼んでいます。

     

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     アジアゾウは40園で84頭が飼育されています。最近、繁殖事例が続いており、動物園間の協力、努力の成果が出ています。しかし、本来群れで生活する動物なので、1~2頭で飼育している園が多いために、メスゾウが出産、育児を群れ学習できないといった課題があります。

     

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     アミメキリンは44園で117頭が飼育されています。遺伝的な多様性を保っていくことが課題で、海外からの導入が望まれます。しかし、購入費用が暴騰しており、メス1頭で2500万円が相場とされています。

     

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     チンパンジーは53園で223頭飼育されています。チンパンジ―は長生きで、オスを中心とするハーレムで生活しており、長期的な群れの形成を考えていかないといけません。特に、オスが生まれた場合、いずれ群れから離す必要があるので、繁殖は慎重になります。

     

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     ライオンは49園で473頭飼育されています。ライオンは家族を形成して生活しており、繁殖率も高いので、動物園では充足している状態です。

     

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     このように、定番動物といえど、展示を持続させていくうえで、様々な課題を抱えています。また、どこの動物園も動物の高齢化という問題にも直面しており、対策はまったなしの状況です。対策の必要な動物種は日本動物園水族館協会が種別ごとに繁殖計画を立て、動物園館のネットワークを活用して(ブリーデングローン)この問題に取り組んでいます。

     

    (飼育園館数、飼育頭数は2015年3月末現在)