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2017年03月23日
お宝、発見 【カンガルー 離乳期】
母親の袋(育児嚢)から出た子が、袋の中に口を入れ、
乳をねだっています。
生後8ヶ月の脱袋から生後1年の離乳までの離乳期に
カンガルーの子育てについてお宝を見つけました。
袋が空になると、すぐに2番目の赤ちゃんが生まれ袋の中に入ります。
出産して子宮が空になると、すぐに交尾して、3番目の赤ちゃんの
受精卵ができます。
3番目は、30日余りの成長で生まれることができますが、
2番目が袋にいるので100個ぐらい細胞ができたところで
成長を休み(胚休眠)、2番目が袋を出入りする頃成長を再開します。
離乳期は、母親が袋の外、袋の中、子宮の中、合計3子を世話する、
お宝期間です。
(なんの専門)
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2017年02月27日
お宝、発見 【カピバラ 尾】
カピバラは、体重が60kgを超えることもあり、
ネズミの仲間では最大です。
ネズミと言えば、長い尾が目立ちますが。
一見して、尾がありません。
動物科学資料館でお宝を探してみました。
全身骨格標本に組み立てる前の骨の中から、
背骨の末端の仙骨とその先の尾骨は見つけました。
尾骨の先が内側に曲がっているので、
尻に埋もれてしまうのでしょうか。
丸印あたりに小さな突出があれば、尾の痕跡です。
(なんの専門)
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2017年01月28日
お宝、発見 【マヌルネコ 野生のくらし】
大寒の朝、陽の当たる岩棚で、
気持ち良さそうに寝ていました。
野生のくらしについて、お宝記録を探してみると、
ロス博士のモンゴルでの観察報告を発見しました。
忍び寄って、ピカ(ナキウサギ)、ハタネズミ、
小鳥や昆虫を捕食します。
一方、上空から猛禽類が襲ってきます。
横からオオカミ、アカギツネ、
飼い犬や狩人が襲ってきます。
避難場所はマーモット(大型ジリス)の古い巣や岩場の穴です。
ピカ(ナキウサギ)が減ると主食の餌が減り、
マーモット(大型ジリス)が減ると巣が少なくなり、
マヌルネコは生きていくのが難しくなります。
国際自然保護連合IUCNのレッドリスト2016では
準絶滅危惧種に該当します。
(なんの専門)
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2016年12月27日
お宝、発見 【キリン 首と高さ】
キリンの首は意外と曲がります。
首の骨の数はヒトと同じ7個です。
今年2月に発表されたお宝論文を見つけました。
東京大学総合研究博物館の遠藤教授の門下生
郡司さんの研究成果です。
胸の背骨は肋骨が付いているので動きが制限されます。
しかし、キリンの場合、首につながる胸の背骨は、
肋骨の構造や筋肉の付き方から、動きが大きい。
あたかも8番目の首の骨の役割を果し、
首をより下げることができるというものです。
さっそく、動物科学資料館へ行ってみました。
骨の構造はなんとか理解できましたが、
動きまで調べた研究はすごいと思うばかりです。
キリンの全身骨格標本の近くで、お宝発見。
キリンの目の高さのライブ映像です。
キリンの高さを実感できますので、
高所に弱い方は注意してください。
(なんの専門)
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2016年10月22日
お宝、発見 【オオアリクイ 平熱】
32℃から35℃と低いです。
当園の測定では、オス34.5℃でした。
メスは、弱っていた時、電子体温計で測定できませんでした。
測定できる範囲外、32℃未満ということになります。
寒がりなのか、暑がりなのか、調べてみました。
胴と尾の長さが同じぐらい、約80cmです。
寝ている姿は、
体を丸め、フサフサした尾をかぶせています。
ブラジルのパンタナール湿原での観察では、
気温が30℃を超えていてもこの寝姿であったことから、寒がり?
早朝の気温17℃で、体を伸ばし、日光浴をしていた記録もあります。
十数年前、急に暑くなった5月の朝、
気持ち良さそうな水浴びを発見しました。
この日は最低気温約22℃、最高気温約30℃でした。
ということは暑がりでしょうか?
(なんの専門)
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2016年09月29日
お宝、発見 【サル おや指】
サル(霊長目)の特徴の一つ、
おや指が他の4指と向き合い、物をつかむことができます。
チンパンジー、手も足もガッチリつかんでいます。
オランウータン、
かかとがなければ、手足の区別がつきません。
コモンリスザル、体の割に大きな手足です。
発見!!
アビシニアコロブスの手、おや指がない?
よ~く見ると、おや指は手のひらのふくらみ。
枝の上をす早く飛びはね回り、
おや指は退化したとの説があります。
(なんの専門)
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2016年08月26日
お宝、発見 【アントラーズとホーンズと】
反すう動物の角(つの)のことです。
アントラーズ(antlers)はシカの仲間の角。
飼育展示中のニホンジカのメスには角がないので、
角のあるオスを探してみました。
シフゾウのオス15歳、
枝のある袋角(ふくろづの)の標本を見つけました。
袋は破れて、骨だけになり、脱落します。
新たに袋角が生え、やがて骨化した角が落ちます。
これを毎年繰り返します。
ホーンズ(horns)はウシの仲間の角。
シタツンガのオス9歳がいました。
枝はなく、骨の芯に角質のさやがかぶさり、脱落しません。
角が短い7年前と比べると、伸び続けてきたのが判ります。
ホーンズはメスにも生えますが、
シタツンガのメスには生えていません。
角のお宝を探していて、「Zoo YOKOHAMA」機関紙に、
プロングホーンズ(pronghorns)を見つけました。
角質のさやに、枝が一つあります。
骨の芯はそのまま残り、さやが毎年抜け替るという角です。
(なんの専門)
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2016年07月26日
お宝、発見 【キリン オッシコーンズ】
オッシコーンズ(ossicones)はキリンの角(つの)のことです。
皮膚でおおわれ、角が抜け落ちることはありません。
数は頭頂部に一対の2本、これらに前頭部に1本加えた3本、
さらに後頭部一対2本を加えた5本と、棲む場所でいろいろ。
マサイキリンのオス16歳の標本。
おでこの出っ張りもゴツゴツと大きいです。
マサイキリンのメス26歳の標本。
おでこの出っ張はなめらかです。
ふと見た若齢の標本にお宝を見つけました。
頭骨と角の間に継ぎ目を発見。
産まれる時、角は軟らかく横になっています。
その後、角は立ち、しっかり頭骨に付くのが判ります。
シカやウシの角は次の機会に。
(なんの専門)
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2016年06月11日
お宝、発見 【ペンギンの翼 フリッパー】
ペンギンの保定は、手で翼とくちばしをおさえた後、
ひざまずいた両足の間で、
翼ごと体が動かないようにすることもあります。
翼で手をはたかれると、痛いこと。
翼はフリッパー、堅い板のようです。
この堅い板に関わるお宝を標本で探してみました。
翼の骨は緻密で扁平。
ひじ・てくびはほぼ動かず、筋肉は小さく薄い。
皮にたるみはなく、羽根は短い。
だから、フリッパーは骨の堅さの一枚板。
竜骨突起の張り出しをみれば、
フリッパーを動かす筋肉は大きく、力が出そう。
堅さに力強さが加わると手痛いのも納得です。
(なんの専門)
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2016年04月29日
お宝、発見 【ナマケモノ 首の骨】
哺乳類は、首の骨の数が、
頭と肩の間、首の長さに関係なく、
7個です。
ナマケモノに当てはまらない種がいます。
王子のフタユビナマケモノは7個です。
全身骨格のお宝標本で確かめました。
しかし、ミツユビナマケモノは8~10個です。
お宝を探してみると、
2010年にケンブリッジ大学のAsher博士チームが
発表した論文を見つけました。
哺乳類の発生過程では、頭から8番目の骨から形ができていく。
ふつう、8番目の骨には肋骨がつき、肩ができる。
フタユビナマケモノの骨格標本で確かめてみました。
ミツユビナマケモノでは、8番目に肋骨を欠き、
肩が下がり、首の骨になる。
9番目や10番目も肋骨を欠いて、肩が下がり、首の骨になる。
画像は、「sloth neck bones」でネット検索すると、見つかりました。
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