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2014年09月09日
えんちょうさんぽ⑳ 「動物園の歴史Ⅱ」
王子動物園63年の歴史の中で 、最も有名な動物は何といってもアジアゾウの諏訪子です。
諏訪子は2008年4月10日、64歳で老衰にて亡くなりましたが、開園以来飼育されてきた王子のシンボル的な動物で、多くの人に愛されてきました。
お別れ会には本当にたくさんの人やマスコミ関係者が集まりました。
灘区の灘百選にも選ばれています。
諏訪子の有名なエピソードとしては1951年3月21日、王子動物園開園の日、諏訪山動物園から引っ越しの際の大脱走事件があります。
布引付近で市電や自動車の警笛に驚き、「摩耶子」と「諏訪子」が大暴れ、2万人の見物客は大混乱
ロープをひぱっていた飼育員らを引きずりながら逃げ出したそうです。
1957年に諏訪子のお婿さんとしてやって来たのは「太郎」です。1994年に亡くなるまで、仲の良かった2頭です。
晩年は日本最高齢のインドゾウとして全国的に有名で、敬老の日の長寿動物へのプレゼントでは常に主役を務めていました。
今でも諏訪子のことを覚えている入園者の方は多く、皆さんの心の中で生きています。
今頃は天国で太郎と仲良く暮らしていることでしょう。
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2014年08月22日
えんちょうさんぽ⑲ 「動物園の歴史Ⅰ」
王子動物園の前身は1928年~1946年に現在の諏訪山公園にあった諏訪山動物園であったことをご存知でしょうか。
現在はその痕跡はありませんが、記念のモニュメントが設置されています。
面積 : 3,900㎡
飼育動物数 : 87種、239点
入園料 : 大人10銭、子供(12歳以下)5銭
諏訪山動物園は第2次世界大戦中の悲しい運命を経験した動物園でした。
これは当時の神戸新聞の記事です。
軍の「本土空襲に備え、猛獣を殺処分せよ」との絶対命令で、当時の職員は断腸の思いで安楽死させたと記録にあります。
ライオン、トラ、ホッキョクグマなど12種24頭です。
戦争は人間も動物にとっても起こってほしくないものです。
平和な時代だからこそ、動物園は存続できるものだと思います。
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2014年08月09日
えんちょうさんぽ⑱ 「ズゼと結希の近況Ⅲ」
市原ぞうの国で6月12日にオスゾウの結希を出産したアジアゾウのズゼ
結希に授乳させ、子育てを目指し、努力してきましたが、残念ながら断念することになりました。
結希は代理母のプーリーがよく面倒を見てくれ、自分の子ゾウのりり香と2人分のおっぱいをがんばって与えています。
結希には、栄養を補助するため、人工乳も与え、順調に育っています。
結希はりり香ととても仲良しで、よくいっしょに遊んでいます。
ズゼはこの9月で1年間市原のゾウの群れで生活してきました。
大変良い経験ができたと思っています。
今年中に王子に戻ってくる予定です。もうしばらく、お待ちください。
結希は代理母に育ててもらっていますので、帰園は先になります
(28年春~)。
もし、お盆などで関東方面に行かれたなら、ぜひ、市原ぞうの国へこのほほえましい光景を見に行ってほしいと思っています。
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2014年07月24日
えんちょうさんぽ⑰ 「大人気サマースクールⅡ」
小学校高学年のサマースクール後半は草食動物の糞から作る紙すきです。
パンダ、コアラ、キリン、ゾウ、ゴリラの糞です。ゴリラは臭いがきついので、他の4つを使って紙を作ります。
せっかくなので、臭いを嗅いでもらいましょう。おかあさんもどうぞ
糞をまず、水に溶かすことから始まります。
手袋をはめているとはいえ、子供たちはやはり抵抗があるのかじゃんけんで順番を決めている班もありました。
草食動物のうんちはそれほど臭くはなく、パンダなら竹の香り、コアラならユーカリの香りがします。
この後、本当はいくつかの工程があるのですが、料理番組のように時間の関係で省略です。
ミキサーにかけた材料を紙すきの道具に注ぎ込み、水を切って、水分をスポンジやタオルでしっかり吸い取ります。
アイロンで完全に乾かせば出来上がり
いい記念になります。匂いも残っているので嗅いでみて
最初に講義を聞いた動物のえさと消化吸収、そして排出される糞、動物の特徴、消化の仕組み 勉強になったかな
最後に、参加認定書を受け取り、本日の授業は終了です。
夏休みの楽しい思い出ができたかな
動物や動物園に興味をもってこれからも学習に王子動物園へ来てね
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2014年07月24日
えんちょうさんぽ⑯ 「大人気サマースクールⅠ」
今週の4日間、小学校高学年のサマースクールを開催しています。このイベントは44年間続く、夏の人気の企画で、毎回のように抽選になっています。
2世代、3世代で参加したという方もいらしゃるのではないでしょうか。
はじめに動物の消化吸収のしくみについて獣医師がその特徴を説明します。
パンダ、コアラ、ゾウ班各7名に分かれて、飼育体験をします。
コアラ班は場所が離れているので、シマウマトラックに乗って移動です。
コアラのえさのユーカリについて飼育員の説明を聞きます。
この後、カバやカンガルーなどの草食動物のエサづくりも体験します。
パンダ班は爬虫類の飼育舎(太陽舎)とパンダ舎の清掃です。
パンダの寝室はなかなか入れない貴重な体験です。
パンダが快適に過ごせるようにきれいに掃除お願いしますね。
旦旦はいつもの飼育員と違うので、興味深々
運動場から帰ってきて、網にへばりついて様子を見ていました。
ゾウ班はまず、王子動物園名物のゾウのシャワーを体感しました。
すごい水圧と水量です。
次に、運動場にニンジンやリンゴを置いて、ゾウの食欲と鼻のじょうずな使い方を観察します。
マックは早くおやつを食べさせろと鼻で砂をかけてきました。
置いたえさはすぐに見つけられ、鼻で上手につかんで食べられました。
この後、ゾウの寝室へ移動して、糞の掃除です。
ゾウのうんちの多さと重さにびっくり、軽トラックがすぐにいっぱいになりました。
次は、トラなどのいる猛獣舎の清掃です。気を付けてね
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2014年07月18日
えんちょうさんぽ⑮ 「ジャイアントパンダの保護」
ジャイアントパンダは中国四川省の山岳地域で約1,600頭が生息し、中国の保護センターや世界の動物園で約350頭が飼育され、中国や世界でその保護活動が活発に行われています。
昨年11月、世界のパンダに携わる研究者の国際会議が中国の成都で行われました。
総勢200人余りが一堂に会した会議です。パンダの生態、繁殖、野生環境、様々な観点から動物園、保護センター、大学などから発表がありました。
会議はパンダ一色です。
発表終了を知らせる表示や参加記念品です。
成都の街もパンダです。
成都にある保護センターではパンダの飼育・繁殖を行うとともに世界で繁殖に成功した個体を展示し、公開しています。
生まれて数か月の赤ちゃんも無造作に展示されて、入園者の人気でした。
ぬいぐるみのようでした。
和歌山アドベンチャーで生まれた「秋浜」が紹介されていました。
スペインで生まれた双子も紹介されていました。
現在、中国の飼育下における繁殖は順調で、毎年10数頭生まれており、今後はいかに野生のパンダを増やしていくかということが課題となっています。
パンダの野生環境を保護することはもちろんですが、飼育されたパンダの野生復帰も中国で取り組まれています。
ジャイアントパンダは絶滅が心配される代表的な動物です。こんな愛らしい動物が地球上からいなくなることはとても悲しいことです。
野生のパンダが保護され、増えていくように今後もその一翼を担っていきたいと考えています。
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2014年07月12日
えんちょうさんぽ⑭ 「氷のプレゼント」
今日は夏の恒例行事「ホッキョクグマに氷をプレゼント」のイベントです。台風が通過し、真夏の日差しがそそぐ、絶好の氷日和になりました。
午前11時からの開始ですが、15分前にはお客さんが集まっていました。
飼育員たちが重たい氷を落とさないように慎重に運んでいきます。
氷は4種類 「さけ」「ソーセージ」「果物」「牛骨」
氷の中に浮かんでいるように 空気がなく透明になるように
氷屋さんの芸術作品です。
今日はオスのアイスの順番です。
奥の寝室では早く出してくれと動き回っていました。
出てきて最初にアタックしたのは牛骨です。
なかなか融けないことが分かっているのかプールに落とし、流水のほうに運んでいきました。
その間に果物の氷を倒して割ってアタックです。
1~2時間で氷が融けてイベント終了ですが、途中でアイスが飽きてしまうこともあります。
人間もおいしそうな氷を見てか かき氷屋が繁盛していました。
明日もこのイベントが11時からあります。メスのみゆきの登場です。
どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。
ぜひ、お越しください。
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2014年07月01日
えんちょうさんぽ⑬ 「ジャイアントパンダの魅力」
現在、ジャイアントパンダは中国(台湾、香港、マカオを含む)を除いて、12か国17園の動物園で飼育されています。日本は3園で、そのうちの1園が王子動物園です。
パンダの存在が中国外に知られたのが1869年、現在のように世界中の人々から愛される動物になるまで100年もかかっていないとされています。王子動物園で行った「好きな動物は」というアンケートでは、50パーセントを占める断トツに人気No1の動物です。なぜ、人気があるのか、その魅力を考えてみたいと思います。
① 目の周りの黒の模様が大きいたれ目に見える。
実際のパンダの目は小さく、鋭い
② 大人になっても赤ちゃん体形
人間が赤ちゃんをかわいいと思えるのは、その体形が大きく影響しているといわれています。
パンダは生まれた時も大人になっても三頭身
③ 目と鼻の位置が顔の下方
パンダは肉食獣でありながら竹を食べるためにあごの筋肉が発達して、大きな顔やあごになったとされています。
かっこいい系の代表であるヒョウの顔と比べるとよくわかります。
④ 体全体が丸い
いわゆる幼児体型で、癒しを感じさせてくれます。
⑤ しぐさがかわいい
よちよち歩く姿やタイヤにおやじすわりをして竹をほうばる姿など見てるだけでほんわかします。
パンダはまだ、わかっていないこともたくさんあります。今後も調査、研究の中で新たな発見もあるかもしれません。
皆さんもぜひ、王子動物園に魅力いっぱいのジャイアントパンダに会いに来てください。
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2014年06月19日
えんちょうさんぽ⑫ 「赤ちゃんゾウに逢ってきました」
6月15日(日曜)、市原ぞうの国へ行って12日に生まれた赤ちゃんゾウに逢ってきました。とても元気に大きな声で鳴いていました。
赤ちゃんゾウと後ろがプーリー
ズゼの搾乳
体重は生まれた直後が142kg、しばらくおっぱいが飲めていなかったので、6kg減りましたが、ズゼから搾ったミルクとプーリーのおっぱいを飲ませてもらって、毎日1~1.5kg体重が増加しています。ズゼからこの日まで授乳できていませんが、プーリーは優しいお母さんゾウで、すぐに代理をしてくれました。その子ゾウのりり香も仲良く一緒に遊んでくれています。野生のゾウはメスが中心に群れで生活して、互いに助け合って生きていると本で知っていましたが、この日、実感できました。
体重を量っている赤ちゃんゾウと後ろで私もとおねだりするりり香
市原のゾウ使いは交代で24時間赤ちゃんゾウの世話をしてくれています。タイでは生活の中にゾウがいて、ゾウの経験値、信頼関係は常に一緒にいることで増幅されていくようです。
安心して寝ている赤ちゃんゾウとそばについているゾウ使い
今週末に王子動物園と市原ぞうの国で名前を決める投票を行います。ふるって、投票してください。
今後、元気なオスゾウに育っていってほしいものです。
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2014年06月13日
えんちょうさんぽ⑪ 「友好都市リガとの動物交流」
ズゼが出産した5月12日、神戸市との友好都市であるラトビアのリガ市から提携40周年を記念して訪問団が市長表敬に市役所に来られました。
友好都市の交流を深めようということで、この日、王子とリガの両動物園で動物交流をしていきましょうという協力協定を締結しました。
右から リガ動物園長、リガ市長、神戸市長、王子動物園長 です。
日本の動物園では動物の高齢化や繁殖の問題で動物の数が減ってきています。国内での繁殖・交流にも限界があり、ヨーロッパやアメリカの動物園との交流は重要になってきています。今後はお互いの希望する動物が入手できるよう協力していければと思っています。
ズゼが故郷のリガ市からの訪問団を待つように出産したことは何か運命的なものを感じます。久元市長からもうれしいサプライズとして、あいさつの中で、話をしてもらい、訪問団からは「コングラチュレーション」の言葉とともに拍手をいただきました。
ここで、少し、ズゼが王子に来た経緯をお話しします。
ズゼは1996年にリガ動物園が友好都市動物交流として「阪神・淡路大震災で傷ついた神戸のこどもたちに勇気を与えるためなら」と送ってくれました。
ズゼはリガ市民に大変愛されていたゾウさんで、モスクワ動物園にあったズゼの所有権を市民の寄付で買い取ったという経緯もあり、市民は遠い日本に送ることに涙を流して、引き取りに向かった当時の王子動物園長に訴える人もあったそうです。出発する前には別れを告げる人たちが続々と動物園を訪れたそうです。
ズゼの出産直後の親子の写真をリガの動物園長さんに渡し、大変喜んでいただきました。帰ったら、みんなに報告しますと言われていました。ズゼの子孫を大きく育てることはこのリガ市との友好関係に貢献することだと思っています。
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