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2025年07月29日
世界トラの日
本日7月29日は「世界トラの日」です。
絶滅危惧種であるトラの現状を知り、その保全の為に出来る事を考えようという日です。
当園でもアムールトラのレーニャ(メス)、ミシュカ(オス)の二頭の飼育を行っていて、繁殖を目指しています。
オスのミシュカは7月9日に和歌山のアドベンチャーワールドから新しく当園の円形猛獣舎に仲間入りしたアムールトラです。
ミシュカが王子動物園に来て約1か月経ちましたので、新しいアムールトラ『ミシュカ』の近況を報告して行きたいと思います。
僕自身、トラの搬入は初めての事でしたので園内で打ち合わせをしながら事前に準備を進め、無事にミシュカを迎え入れる事が出来、とてもホッとしています。
動物の移動について少し説明しますと、皆さんのイメージでは動物を檻に入れ、車等の移動手段で運ぶと言った感じでしょうか?
大まかにはそんな感じで進むのですが、動物を檻に入れるにしてもその動物が自分から檻に入ってくれる個体なのか、麻酔が必要なのか等で搬出する側も準備が変わってきますし、運ぶ手段によっても搬出先までどれくらいの時間がかかるのか等も変わってきます。
搬出する動物に少しでもストレスがかからないように、互いの園館同士で相談しながらの作業になってきます。
今回は当園とアドベンチャーワールドは、国内移動のうちではまだ短い時間での移動でしたのでミシュカにもあまりストレスをかけずに来てもらう事が出来ました。それでも、道中の温度管理など最大限配慮しました。
さて、車で約3時間ほどで当園に到着したミシュカはと言うと檻の扉を開けると最初は檻の中で周りを気にしながら外を見ていましたが、すぐに新しい部屋に入り置いてあった馬肉を食べてくれました。
この瞬間、周りにいた飼育係、獣医などみんなが胸をなでおろし、とても安心しました。
この日のミシュカは周りを気にしながらとても緊張した様子でしたので、とにかく緊張を解き、少しでもリラックスしてもらおうと部屋を暗くし、最低限の人数で様子を見守る事にして、ミシュカに過ごしてもらいました。
次の日からもまだ緊張した様子でしたが、しっかり餌も食べてくれていたのであとは少しでも早く環境に慣れてくれたらいいなといった感じでした。
1週間もすると、環境や僕らにも少しずつ慣れてきた様子で「餌はまだですか?」といった様子でこちらを見てくれる様になってきました。
ミシュカが環境に慣れてきたら、次は屋外展示場に出る練習を始め皆さんにもミシュカを観覧していただく予定にはしていますが、そこは慌てずミシュカのペースに合わせていきたいと思っています。皆さんもミシュカに会える日を楽しみにお待ちしてもらえればと思います。
うめもと りょうじ
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2025年07月24日
動物専門員の日常#19 フラミンゴの繁殖管理~産みの親ではなく、仮親をたてる~
先日のブログでお知らせした通り、今年もベニイロフラミンゴのヒナが誕生をしました。
実は、そのあとにこっそりと【6月24日】と【7月10日】に、それぞれベニイロフラミンゴのヒナが1羽ずつ孵化しています。
【6月24日】と【7月10日】に誕生したヒナは特別な経緯があったので、
その裏話を少しアカデミックに紹介したいと思います。
―フラミンゴたちの子育て事情―
王子動物園ではベニイロフラミンゴとヨーロッパフラミンゴの2種類を同じ場所で混合飼育しているのですが、その個性はさまざまです。上手く産卵・抱卵してくれるペアもいれば、適さない場所で産卵してしまい、卵のまわりを困ったようにうろうろしていたり、良い場所で産んだはずなのに途中で抱卵を放棄したり、なかなか一筋縄ではいかないのが現実です。
実は【6月24日】と【7月10日】に誕生したヒナにはそれぞれにハードルがありました。
ひとつはこれまで、孵化に成功したことがない場所(通路側)で産み落とされた卵でした。その場所は来園者との距離が近く、柵越しとはいえ、人の気配が絶えません。飼育員も掃除のためによく通る場所のため、安全に育てるには不安が残る場所です。そしてもうひとつの卵は親鳥が卵への関心をあまり示さずにいました。巣のなわばり争いも激しく、他の個体から守り切ることができない状況でした。
このまま置いておくと、どちらの卵も無事に孵化させるのは難しい…。
人工育雛という方法もありますが、十分なケアを継続できるか、育ったあとのヒナが群れに戻れるのか、といった課題もありました。
そこで、選んだのは当園で過去にも成功事例のあった
「別のペアで仮親を立てる」という方法でした。
―仮親を立てる―
いったい、どのようにフラミンゴ自身はヒナを認識しているでしょうか?
実は産み落とした卵を個別に認識しているわけではありません。基本的にフラミンゴたちは守っている巣を認識しているだけだと言われています。そして、孵化する少し前に卵の中でヒナが鳴き声を発するのですが、親鳥とヒナの間で「音声のコミュニケーション」をとり、孵化後もお互いを認識することができます。フラミンゴのペアが抱卵を始めてから孵化するまでの日数は平均で28日前後と言われており、その間にそっと卵を入れ替えれば自分の卵だと認識してくれる可能性があります。 今回、抱卵・子育てが得意なヨーロッパフラミンゴのペアに仮親になってもらい、ベニイロフラミンゴが抱卵を放棄した本物の卵を託すという取り組みを実施しました。ヒナの最初の嘴打ち(はしうち)の瞬間を見たときには、嬉しかったです。その後も仮親が子育てにしっかりと取り組んでくれて、群れも安定しているため、ほっとしています。
―仮親を立てることはアニマルウェルフェア(動物福祉)につながるのか?―
動物を飼育していく上で、アニマルウェルフェア(動物福祉)は欠かすことはできません。アニマルウェルフェアとは“動物たちが身体的及び心理的に幸福であること”を意味し、それは科学的な根拠に基づいて評価する必要があります。今回、繁殖制限中のヨーロッパフラミンゴに別種であるベニイロフラミンゴの卵を抱かせて、抱卵・子育てに取り組みました。抱卵・子育てはフラミンゴ自身が大量のエネルギーを使うため、仮親ペアの選び方や体力的に負担になりすぎないかなどの見極めが重要です。しかし、抱卵・子育てが得意なヨーロッパフラミンゴのペアにとっては、本来の行動を引き出すことができるため、精神的な充足や自然な子育て行動を維持できる可能性があります。ヒナ誕生ということに加えて、繁殖制限がある中でも、今を生きているフラミンゴたちへのアニマルウェルフェア向上にもつながることが期待されます。
―限られた条件の中で少しでも良い方法を選ぶ―
フラミンゴたちのため、そして未来の動物園のために、「今できるベストは何なんだろう?」と担当者はいつも頭を悩ましています。時には「フラミンゴを騙しているのでは?」と純粋に質問をされ、複雑な気持ちになることもあります。未来にベニイロフラミンゴという種を確実に残していくために、アニマルウェルフェアを考えながら環境づくりに取り組んでいこうと思います。
・・・とお堅いはなしは、ほどほどにして
今回、無事に育ってくれて本当によかったです。
今の時期にしか見ることのできないふわっふわなフラミンゴのヒナにぜひ会いにきてくださいね。
動物専門員 あお & 飼育員 まーくん
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2025年07月01日
はじめました
梅雨が明けました。
そろそろセミが鳴きだします。
ジャイアントパンダのタンタンは中国に帰りました。
もうそこまで夏がやってきています。
暑くなってきたのでミストシャワーはじめました!
最近の暑さはハンパないので、動物がいる場所にはたくさんの日陰が必要になりますが
みなさんには涼しい場所で休みながら動物を見ていただきたいです。
「コアラ舎」や
「ホッキョクグマ舎」と
「アシカ舎」の観覧通路から
チンパンジーやオランウータンのいる「類人猿舎(放養式動物舎)」などなど。
ベンチに座って冷たい飲み物やアイスクリームでクールダウンして下さいね。
「動物科学資料館」の
休憩ホールではフンボルトペンギンのスピード感あふれる泳ぎが間近でゆっくり見ることができます。
また7月5日(土)・6(日)には動物科学資料館 休憩ホールで、
七夕(たなばた)のイベント「たなばたを飾ろう~動物たんざくに願いをこめて~」を行いますよ。
常設展示室では「住む」「食べる」「育てる」などのテーマごとに、ジオラマや骨格標本、映像や模型、音響などで動物の特徴や体のしくみを楽しく紹介しています。
また学習コーナーでは絵本が読み放題のこども図書室や、専門書などが豊富に揃った図書閲覧室、動画も見られる情報コーナーもありますのでぜひ楽しんでみて下さいね。
ぶろぐのぐ
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2025年06月10日
動物専門員の日常#18~今年もこの季節がやってきました。フラミンゴのヒナ誕生~
今年もこの季節がやってきました。フラミンゴのヒナ誕生です。
先日、Xでも紹介したようにベニイロフラミンゴのヒナ1号(4/29)と2号(5/10)が誕生し、親鳥のもとですくすくと成長をしています。
▼ベニイロフラミンゴのヒナ2号_生後3日目の様子
王子動物園のフラミンゴ飼育の歴史は長く、
1983年から毎年フラミンゴ池での自然繁殖に成功しています。40年以上続く、歴代孵化記録も無事に更新されました。
もちろん繁殖の記録を更新することは1番の目的ではありません。
まず大切なのは「フラミンゴたちが健康にのびのびと過ごすことができること」
たとえ繁殖記録を更新しなくても、フラミンゴたちが元気だったら「そんな年もあるよね」とホッとするだけなのですが、それでもやっぱり担当者としてはこの時期はそわそわしてしまいます。
今回のブログではそのような中で迎えた、1卵目のベニイロフラミンゴのヒナ誕生についてあれこれと書き連ねたいと思います。
今年初めての産卵は3/29でヨーロッパフラミンゴのペアでした。これは例年通りの傾向で、最初にヨーロッパフラミンゴの産卵ピークを迎え、そのあとにベニイロフラミンゴの産卵ピークに移り変わっていきます。
▼ヨーロッパフラミンゴ最初の産卵と親鳥の威嚇の様子
「この時期からヨーロッパフラミンゴのペアの産卵ラッシュがはじまるからよく見ておいてね」とベテラン飼育員に言われ
楽しみにしていたら、その3日後にはフラミンゴ島にたくさんの卵がありました。産卵シーズンのはじまりです。
▼フラミンゴ島のたくさんの卵
そのような中・・・なんとベニイロフラミンゴのペアも産卵をしたのです。
これは、例年より1か月も早い傾向だったので、驚きました。
「まぁ、そんな年もあるよね」と思いつつ、動物とはほんとうに予測ができないものです。
フラミンゴたちは1産1卵で抱卵と子育ては、基本的には同じペアが行います。抱卵期間(産卵してから孵化するまで)は一般的に27~30日とされており、その間オスとメスが交代で誕生まで卵を温めつづけます。
とはいえ、これはあくまでひとつの目安。
卵自体がもともと無精卵(未受精卵)であったり、何らかの理由で卵の中で発育が止まってしまい残念ながらヒナが孵らなかったりします
よく観察をしているとフラミンゴたちにもさまざまな事情があることも分かりました。
オス、メス抱卵の交代をするときにうっかり、自分の卵を割ってしまう個体や無意識に自分の体重を卵にかけすぎてしまう個体、他のペアが守っている卵を横取りしようとする個体やわざと攻撃して巣から転がり落とす個体など―――。
ヒト同士でもいろいろとあるように、フラミンゴ同士にもいろいろあります。
▼フラミンゴ自身の体重で破卵した卵
(担当者ができることは少ないのだけども・・・)ベニイロフラミンゴのペアが抱卵に集中できるように、ヨーロッパフラミンゴのペアの卵は偽卵に交換をし、横を通るときや掃除をするときにはできるだけ刺激をしないようにしました。
最初の孵化は4/29の朝8時すぎでした。
いつも通り、獣舎の確認をし、巣に親鳥がちゃんと座り込んでいるのをみて
まだ孵化していないことを確認して・・・と思っていたら、
親鳥の羽根からひょっこりと嘴がみえました。
「え、これ本物?産まれてる」と
めちゃくちゃ、びっくりしました。
▼フラミンゴのヒナ誕生
▼誕生直後_4/29 11時頃のフラミンゴのヒナ
無事に誕生してくれてひと安心です。
そして親鳥がフラミンゴミルクを与える様子も確認できました。
▼フラミンゴミルクを飲む様子
フラミンゴをはじめ鳥類の成長は日に日に、目を見張るものがあります。
中でも印象的だったのは生後6日目に初めて巣から離れたときです。
通常、ヒナは孵化5~7日後に自力で巣から離れ始めると言われています。
親鳥は巣に居続け、ヒナを認識できるのですが連れ戻すことを物理的にはできません。
(例えば、ネコのようにヒナを口にくわえて運ぶことはできません)
なので、ヒナ自身が自力で巣に登り戻る必要があるのです。
周りにフラミンゴのペアがたくさんいる中で戻れるか、心配でもし閉館時刻までそのままだったら手助けをしようと思っていたのですが、私の心配もよそにあっさりと30分後には巣に戻っていました。たくましすぎます。
▼生後6日目に初めて巣から離れるヒナ
▼親鳥がヒナから離れ戻る様子
生後10日を過ぎたころ、親鳥がヒナのそばから離れる様子が見られました。
親鳥がエサを食べる間など、ほんの少しの時間をヒナは1匹で過ごします。
(動画の中ではほんの小さな鳴き声を発していますが・・・)
実はフラミンゴは、抱卵中に親鳥と卵内のヒナの間で「音声のコミュニケーション」をとることが知られています。孵化する前に十分に親子の絆ができているため、誕生後もヒナと親鳥がお互いを認識することができるのです。
さて、6月を迎えて、現在2羽のベニイロフラミンゴのヒナが成長をしています。
最近は200羽いる群れの中で、オキアミを食べる様子やよりたくましくなった脚で親鳥と並んで片足立ちをする様子なども見ることができます。
王子動物園の風物詩
フラミンゴのヒナにぜひ会いにきてくださいね。
動物専門員 あお
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2025年06月03日
ふわふわ
沖縄や九州南部で梅雨入りが発表されました。
えっ、もうそんな時期になりましたか!?
確かに…王子動物園でもたわわに、とまでは少し早いですが
小さいお団子みたいな粒がたくさん実ってきました。
ウメ
ビワ
ギンナン
毎年夏までのこの時期はフラミンゴのヒナたちが誕生するシーズン。
ですが、今回は日本人が大好きな鳥のなかま「ペンギン」のお話しを。
ペンギンは寒い地方に生息しているイメージが強いですが、
そのなかまは南半球に広く生息していて全部で18種類います。
体の大きさや模様、生息地などもさまざまでバラエティ(多様性)が豊富です。
王子動物園で飼育されているのは「フンボルトペンギン」。
日本の動物園で最も多く飼育されている種類のペンギンです。
日本からは地球のうらがわあたりになる南米のチリやペルーなどに住んでいます。
気温や気候が日本とほぼ変わりなく、夏でも元気な姿を見ることができます。
動物園では今年4年ぶりに1羽のヒナが誕生しました。
4月7日に誕生してからはず~っと巣の中で親ペンギンに守られていましたが、
最近ようやく巣の外に出てくるようになりました。
ふわふわした黒っぽい羽毛姿がめちゃくちゃ可愛い!
これからあっという間に大きくなって、
エサの時間になるとよちよち歩きで魚をねだりにやってくることでしょう。
ただし…
今はまだ担当飼育係の姿を見つけると親子共に巣の奥へ引きこもるらしいので、
お世話していない時をねらって探してみて下さい!(笑)
ぶろぐのぐ
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2025年05月30日
~おなじそらのした~
朝夕の寒暖差もありますが、ようやく春、いやむしろ「初夏」のような連休明けの日差し。
もう少しゆっくりとうららかな季節を感じたいものです。
園内に足を踏み入れると、まずは目にも鮮やかなフラミンゴたちがお出迎え。繁殖シーズン真っ盛りの彼等はその羽の色を一層鮮やかにして意中の相手にアプローチしたり賑やかに鳴き交わしたりとっても印象に残りますよね。
「あぁ。動物園に来たな~」と視覚・聴覚・そして嗅覚で感じさせてくれます。
道なりに西に進むもよし、ですがそのままフラミンゴ池を北上すると目の前には何だかネットにおおわれた大きな囲いが見えてきます。「何がいるのかな?」という来園者の声がよく聞かれるそこには【水禽舎=すいきんしゃ=】という主に水辺に暮らすカモたちが飼育されている獣舎があります。
主に水辺、と言いましたが、「見目麗しいインドクジャク」や「ファンキーな頭の冠羽(かんう)が特徴的なカンムリヅル」も一緒に暮らしている鳥たちみんなに優しい?そんな獣舎なのです。
水禽舎の北側には入り口があり、中に入ると観覧テラスになっています。
鳥たちが暮らす空間の中に入るため、時には間近に鳥たちを観察することが出来ます。
しか―し…!
ほとんどの場合は近くに鳥たちの姿はなく…
たとえ見つけても寝ている姿しか見えない…
遠くの茂みに隠れていてよく見えない…
せっかく来たのに…。
などなど。まさに「動物園あるある」ですね。
動物園に来たら図鑑やテレビで見るだけの動物たちを目の前で、生き生きとした躍動感あふれる姿に出会える!って思いますよね。
私も以前はそう思っていました。
ですが、飼育員として彼等に間近に接し、向き合うなかでそうではないと感じるようになりました。
自然の野生下で暮らす特に捕食される側にいる彼等の姿はというと、敵から命を守るため身を隠す、捕食者においてもできるだけ省エネのため無駄に動かないのが本来の姿。
そのため、動物たちはあまり目立って動き回るよりも物陰に隠れていることが多いのです。
動物園で暮らす動物たちの中には長い間の飼育環境になじみ、あたかも「飼いならされた感」がにじみ出るものもいます。が、一見なつっこい様子を見せる彼等でも脈々とその身体になかに野生の血が、DNAが存在するのを痛感する場面に出合います。鳥類などは普段は至近距離に近づくことができていても“繁殖シーズン”を迎えると豹変することがあります。
繁殖パートナーを守る。生まれた命を守る。その身に変えてでも「守るもの」ができたとたん、彼等は命がけでこちらに向かってきます。そんな彼等に時折身の危険を感じつつも、その様子に胸が熱くなるのです。「本能は受け継がれている」と。
彼等のそんな野生に近い状態を見ていただくために、普段から彼らの様子を観察し、生活環境が少しでも良くなるように心を配りつつ。
木の陰にうずくまる彼等の邪魔をしないよう落ち葉を集めた水禽舎での日常でした。
限られた忙しいタイムスケジュールをこなす中で、時にはそんな彼等のまったりとした姿をみて、「ゆっくり流れる動物園タイム」を過ごしてみてはいかがでしょうか。
元B・T・N
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2025年05月16日
ゆとり
毎年5月10日から16日までの一週間は「愛鳥週間」です。
「愛鳥週間」は1947年、公益財団法人・日本鳥類保護連盟が結成された時に4月10日を「バードデー」と定めたことから始まりました。
1950年からは現在と同じく5月10日から16日までの一週間を「愛鳥週間」と定めています。
この期間中には野鳥の保護と自然保護への理解を深めるために、全国各地でさまざまなイベントや啓発活動が行われています。
日本鳥類保護連盟が主催している「全国野鳥保護のつどい」や、
各都道府県の自治体や学校などが募集する「ポスターコンクール」、
環境省が後援している「ヒナを拾わないで!!」キャンペーンなどなど。
兵庫県が実施している「愛鳥週間用ポスター原画コンクール」の募集広告を、
小学生や中学生の時に学校などで見た記憶はありませんか?
令和6年度の金賞から佳作までの優秀作品30点は、
兵庫県立三木山森林公園で5月25日(日)まで優秀作品展として展示されているらしいです。
王子動物園にも季節ごとにたくさんの種類の野鳥がやって来ます。
いまの時期は木々の緑も濃くなって、冬に比べると探しにくくもなるので
観察できる種類もやや少なくはなりますが、ムクドリやカワラヒワ、シジュウカラ、ツバメなどを見ることができます。
ゴールデンウイークが終わって慌ただしく過ごし始めたこの一週間、
少しだけ気持ちにゆとりをもって、
身近にいる野鳥のことや自然のことを考えてみたりしてみませんか。
ぶろぐのぐ
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2025年04月23日
アカカンガルー「カイ」について
入院舎で長年過ごしていたアカカンガルー「カイ」(オス・9歳)が、2025年3月21日に亡くなりました。死因はネフローゼ症候群(タンパク等が多量に染み出る疾患)の進行による循環不全でした。
「カイ」は、生涯の中で2回起立不能になり、2回とも治療とリハビリで再び歩けるようになったすごいカンガルーです。また、2024年3月からはネフローゼ症候群を発症していました。「カイ」は、入院舎に2021年から暮らしていて、ときには他のカンガルーたちと共に入院舎で過ごすこともありました。大人しくちょっと食いしん坊で、後から来たカンガルーをいつも迎え入れてくれるとても優しい性格をしていました。長い入院生活だったため、今でも入院舎を覗いたら「カイ」がいる気がしてしまいます。決して楽ではないカンガルー生を送ってきた「カイ」。とてもとても頑張ってきたのだと改めて感じました。
『「カイ」長い間お疲れ様、そしてありがとう。』
最後に…来園者の方たちからは見えない所にいる個体だったため、なかなか皆さんにお伝えする機会がなかったのですが、3月9日の大人のための動物園講座で「カイ」について皆さんに発表する機会がもらえたことはとても嬉しかったです。アーカイブ配信もあるので、ぜひ王子動物園の取り組みや、「カイ」を含めた動物たちの頑張りもみていただけたらと思います。
王子動物園 北園担当
(カイ 9歳)
(好物の白菜を食べているカイ)
(ほかのカンガルーと同居の時も)
(リハビリも頑張りました)
(都合が悪くなると寝たふりをするカイ)
(カイありがとう、またね)
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2025年04月23日
動物専門員の日常#17~フラミンゴちょっと、どきどきの1週間~
みなさん、こんにちは。
今日はみなさんに、ちょっと、どきどきするお知らせがあります。なんと・・・ベニイロフラミンゴの今年の最初の孵化予定日が4月29日(火)となり、とうとう1週間を切りました。
もちろん、あくまで予定日なので孵化の予定が前後することやうまくいかないことなどもあります。
例年、ベニイロフラミンゴの孵化が始まるのは5月の終わりごろ。
それが今年は、なんと1か月も早まっているんです…!しかも、現在4つの卵をあたためています。準備もいつもよりバタバタ。
担当者はもう、内心どきどきです。
王子動物園のフラミンゴ飼育の 歴史はとても長く、
1983年から連続で毎年、このフラミンゴ池で繁殖に成功をしてきました。このフラミンゴ池で生まれ育ったフラミンゴは、なんと650羽以上!国内実績ナンバーワン!
これは本当にすごい数字なのです。
・・・と同時に、これって担当者にとってはとんでもないプレッシャーだったりします。
「自分の代で途切れさせてしまったらどうしよう・・・」って(;’∀’)長年の実績があるとはいえ、「いつも通りにやれば大丈夫」ということは全くありません。
島の土を起こすタイミング、掃除の仕方、餌の与え方、ガイドをする場所など──
そのひとつひとつが群れ全体に影響を与えるので、ものすごく神経を使います。自分たちではコントロールできないどうしようもないこともたくさんあります。
フラミンゴは一般的に、神経質で臆病な動物だと知られており、ひとりぼっちよりも周りに仲間が多ければ多いほど安定する動物です。
観察していると、1羽1羽の様子というよりも、群れ全体の空気感。
気分の上がり下がりが伝わってくるような、そんな感覚になります。
最近、池の大掃除のあと破卵(はらん)がありました。
「自分のやり方が悪かったからでは・・・」と考え込んだり。
ともすれば、見ていないうちに気づいたら産卵することもあります。
「産卵する瞬間に立ち会いたいな・・・」と思ったり。
神経質で臆病な動物はむしろ担当者の方であって、
王子動物園のフラミンゴたちはなんだか胆力にあふれ、雄々しく見えることもあります。
今年も、いのちが誕生する瞬間に立ち会えると信じています。
動物専門員 あお
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2025年04月22日
沼る
春休みも終わった動物園では桜の花びらが盛んに散っています。のんびりと歩いていたら、
「あれっ!」
いつも見るタンポポとは… 花びらが白くて、中央が淡い黄色。
なんだこれは!?と急いでスマホで撮影し、すかさず検索!
便利な時代になりました。
日本の自然の中で昔から自生している在来種(ざいらいしゅ)「シロバナタンポポ」でした!
こちらがよく見るタンポポ。
鮮やかな黄色のタンポポは、在来種の「カントウタンポポ」と
ヨーロッパなどが原産地の外来種(がいらいしゅ)である「セイヨウタンポポ」です。
見た目はほとんどそっくりな種類のタンポポですが、
在来種と外来種のちがいは、花の下にある「総苞(そうほう)」という緑の部分で、
一般的には下向きに反り返っている種類の方が外来種のタンポポと言われています。
いろいろ調べてみると、最近は在来種と外来種の雑種化も急速に拡大しているそうで…
ほんわかとした気分のままのタンポポばなしではなくなりそうです。
外来種については時々ニュースなどでも問題にはなりますが、
身近な風景が生態系や環境問題にまでつながってしまうと少しさびしくなります。
でも、大事にしたい身近な自然の未来についてもう少し深く考えながら、
しばらくタンポポの花の下側を気にして歩いてみようかと思います。
ぶろぐのぐ
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